小泉純一郎首相が、中国・瀋陽の日本総領事館事件直後に副領事が中国側に
電話をかけていた事を明かにした民主党の現地調査団の発表を激しく批判した。
いわく、
「日本側の非をあげつらって『日本がダメだダメだ』というのは、
あまりにも自虐主義じゃないか。中国といま大事な交渉をしている。
そういう立場も考えてもらわないと。中国がそんなにいいんですかね。
日本は中国に抗議してるんですよ。よく考えていただきたい」。
小泉の言う事にも一理ある。
外務省の問題点は勿論だが、しかしこれは国内問題で官僚をやり玉にあげるのとは
わけが違う。事は、国益の掛かった外交問題である。
この手の交渉事は、それぞれお互いに、「自分にも至らぬ点がありました」と
非をさらけ出して認め合って、なあなあに解決するという問題ではない。
最初は全面的に自説の正さをぶつけ合い、しかしその間には妥協点を探って、
やがてある時点においてお互いに譲歩し合いそれぞれに面子の立つ解決策を立てる、
というのが外交交渉の要諦ではないのか。
まして相手方の中国は全体主義的な国家だ。国論を統一して専ら押してくる。
それに対して最初からこちらの手の内を見せて、
一方的に自国の非をあげつらっていては、話にならない。
民主党は野党とは言え、あくまで日本の国家国民を代表する政党の一つであって、
中国共産党の日本支部ではあるまい。
外務省の責任問題や体質の改革問題は国内問題であり、
現在の外交問題の解決後にはっきりつければよい事。
事局の収拾論と、その後の責任論は分けて扱う必要があるのではないか?