北朝鮮による日本人拉致事件という国家犯罪、
そして、北朝鮮という恐怖政治の軍事独裁国家体制…。
この弁護しようのない事実に対して、
しかし、それを緩和し相対化しようとする言論が日本に存在している。
やれ、「戦前の日本による植民地支配」がどうの、
果ては、戦前の日本が今の北朝鮮の体制と同じようなものだったかのような
トンデモ説を唱える者すらいる。
そもそも、今現在も進行中の国家犯罪や軍事独裁国家を
半世紀以上も昔の日本に対比させて相殺しようとする論理自体が論外だが、
それ以前に間違って欲しくないのは、戦前の日本への認識である。
まず、日本は朝鮮を「植民地支配」した事はないのである。
あれは「日韓併合」である。
つまり、例えば北海道が日本であるように、朝鮮も日本だったのだ。
法的な建て前上は内地も半島も平等だったのである。
勿論併合そのもの、そして「平等」の中身にも問題があるが、
少なくとも植民地支配とは実態が異る。
そして、戦前の日本は、今の北朝鮮と似ても似つかない。
戦前の日本ですら、当時の世界的水準から見れば十分に民主国家だったと言える。
そうでなければ、例えば「大正デモクラシーの時代」なんかが、あるわけない
不完全ながら「憲政の常道」による二大政党政治も存在し、
美濃部達吉の天皇機関説のような、国家体制論も自由だった。
この天皇機関説が弾圧されたのは昭和10年代になってからである。
また、戦争下において思想言論が統制される事は、何も日本に限った話ではない。
更に珍説なのは、今日の北朝鮮の在り方が、日本(の植民地支配)に責任があるかのような言説だ。
悪い事は、なんでも日本のせいらしい。
こういう事を言う人は、米ソ対立の歴史も知らないのだろうか。
「日本のせい」…だったら、東南アジア諸国が戦後、欧米から独立を果たし得たのは、
日本の「大東亜戦争」のおかげであると評価するのだろうか??