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ラヂオスターの悲劇
トマーシ
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2003年05月18日(日)
La Plas Belle Africaine

 叶えられなかった祈りより叶えられた祈りに

 より多くの涙が流される。

 〜聖テレサ

 何年かぶりにこの言葉を思い出した。

 ちょうど歯を磨いていて

 古い歯が抜け落ちるみたいに。

 カポーティの遺作の扉の言葉だ。

 僕はこの小説がカポーティの中では一番好きだ。

 多分ディッケンスが好きな気持ちと同じ気持ちで、

 この小説が好きなんだと思う。

 因みにカフカの「アメリカ」もまた同じ気持ちで好きだ。

 総合小説が好きなんだろうか?

 自分に希望の持てる発見だ。

  

 目が覚めると、

 そこは原宿の吉野家だった。

 店員に肩を揺さぶられて気がつくと、

 そこにはまだ半分だけ牛丼が残っている。

 食ってる途中に記憶が飛んだのはさすがに初めてだ。

 仕方が無いので、それを平らげる。

 肉は残っていなかったが御飯は味がしっかり染みこんでうまい。

 着信を調べると

 結構ギッシリ埋まっていて、

 昨日のめんつはみんな今ごろ温かい自分のベッドで

 うとうとしているわけだ。

 今更掛けなおす気にもなれない。

 重たい体を引きずって外に出る。

 今度は間違えずに恵比寿に着くことが出来た。

 バイクを置いた場所へフラフラと歩いているときに

 さっきの聖テレサの言葉を思い出したのだ。

 それはウットリとした百合の花みたいに綺麗だった。

 鼻唄まじりに帰路に着く。

 道路はまだ車が少ない。

 こんな唄だ。 

 ♪窓を叩く雨、より時雨強く
 
  目を覚ました恋人の夢うつつ・・・

 僕の為に取っといてくれたんじゃないかと思うくらい素敵な歌じゃないか。

 そいつを次に目が覚めた時には伝えておこう。

 だが次に僕の眠りを破ったのは違う友達からの電話だった。

 本当は眠っていたかったが、かなり面白そうなお誘い。

 日比谷公園でアフリカンフェスタをやっているというのだ。

 これは行くしかないね。