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2004年01月09日(金) ■ |
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青の部屋 |
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ブンブンと生まれたての羽虫が目の前を交差する午後で 太陽は既に手の届かないところにまで昇っていた。 誰かが砂糖壷を割ってしまったみたいな 何ともいえない甘味があたりに拡がっていく。 丈の高くなった雑草が互いに腕を絡ませるようにして 僕の頬を撫でる。 構えた腰もだんだんと重くなり、草いきれの熱を含んだ風も苦にならない。 日なたに焦がしたような青草の平地に出てきたときには、 そこに突っ伏してしまいそうだった。
だが、急に空気の変化を感じる。 僕はそこに棒立ちになっていたけれど、 丁度、額の髪の生え際に冷たい風を感じた。 ネジをまくようにして、五感を鋭くする。
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