★菅浩江。『アイ・アム I am』

舞台は近未来。主人公はなんと介護ロボットだ。
時折海底の砂のように舞い上がる記憶の断片を探して、主人公は
自分探しを続ける。

生きていくことの現実を突きつけられるのは、やはり「病気」
を身近に感じるときだ。
なんだかんだ言っても、私たちは自分の頭で物を考え、自分の足で
歩き、自分の目でものを見る。
だがたとえば障害を持ったとき、いかに自分を生きるか?
命の残りがわずかとわかったとき、どのように過ごすのか?
そんな現実を見るたびに、自分の心構えの甘さを思い知る。

つらかった。彼のことを思い出す。
主人公ミキは自分の記憶の彼方にたどり着くが、彼がそうできるとは
思えない。なぜなら…いや、やめておこう。
それを今考えることは無意味だ。
回りが勝手に何を定義づけたとしても、本当の気持ちは本人にしか
わからないのだから。

途中から筋は割れたけれど、それを優しくカバーする主人公の
回帰が心地よく話をまとめる。
2003年08月10日(日)
By ちゃいむ

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