舞台は近未来。主人公はなんと介護ロボットだ。 時折海底の砂のように舞い上がる記憶の断片を探して、主人公は 自分探しを続ける。
生きていくことの現実を突きつけられるのは、やはり「病気」 を身近に感じるときだ。 なんだかんだ言っても、私たちは自分の頭で物を考え、自分の足で 歩き、自分の目でものを見る。 だがたとえば障害を持ったとき、いかに自分を生きるか? 命の残りがわずかとわかったとき、どのように過ごすのか? そんな現実を見るたびに、自分の心構えの甘さを思い知る。
つらかった。彼のことを思い出す。 主人公ミキは自分の記憶の彼方にたどり着くが、彼がそうできるとは 思えない。なぜなら…いや、やめておこう。 それを今考えることは無意味だ。 回りが勝手に何を定義づけたとしても、本当の気持ちは本人にしか わからないのだから。
途中から筋は割れたけれど、それを優しくカバーする主人公の 回帰が心地よく話をまとめる。 |
2003年08月10日(日) |
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