午後4時過ぎ、ギリギリまで店で仕事。発送の梱包や伝票書き。今急いでメールを送らなくてはならない人のメールアドレスを2件ほど手帳に書き殴って車に飛び乗る。どこかに出かけるときはいつもこんな調子だ。もっと慌てず優雅に出かけたいものだ。
塩沢の単衣に紗の帯を締め、黒くて丸いサングラスをかけた妻たかちゃん(あやしい姿)が運転。助手席で携帯からお客様2人にメール送信。パソコンからなら1分で書き終わるメールが10分以上かかってしまう。2通のメールを出し終わる頃には成田はもうすぐそこである。
高速に乗り、酒々井のパーキングで運転交代。ゴフクヤ・フィットは120km/hまで滑らかな加速。この小さなボディで信じられないほどの抜群の直進性だ。
今日の目的地は渋谷のシアターコクーン。野村萬斎の「オイディプス王」初日のチケットが取れたのだった。しかも前から7番目の席。ラッキー!
たかちゃんは劇場に着く前にマツキヨでドリンク剤を購入。「せっかくの萬斎さまの舞台、寝てしまっては大変。」
そう、ここ数日私もたかちゃんも睡眠時間2時間とか4時間とかそんな生活なのであった。
しかし、会場に着くととてもドリンク剤を飲むのにはかなりの勇気が必要な雰囲気。明るすぎるし、着物で目立っているし・・・。
いよいよ開演。会場の照明すべてが落とされ、効果音とも音楽とも付かない音が鳴り響く。ドリンク剤を飲むのは今だ!・・・とは思っても天井を向いてドリンク剤をあおった瞬間 バーン! と照明がついたりしたらまるでマンガである。
そのまま機会を失い舞台は始まってしまった。
狂言以外の野村萬斎を初めて見た。いつもの飄々とした雰囲気とはやはり全然違う。そして西欧的ではなくいわばチベットの密教寺院的な演じる人々の衣裳、鏡が不思議な効果を生む舞台美術、”和”を感じさせる音、光。
そしてこれ以上の悲劇が考えられたら誰でも良いからかかってきなさい的な悲劇中の悲劇。もしもストーリーを知らずに観たらまた別の驚きもあったかもしれない。ストーリーを予習しないで観ればよかった・・・。
さすがの睡眠不足もこの舞台の迫力には眠くなるどころではなかった。
そんなわけで、帰ってきたのはやっぱり夜中。
そしてやっぱり今日も睡眠時間4時間なのであった。
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