部屋の窓から見える空を、僕は何度も覗き見る。
月が逃げてしまう。 星を置いてまで、貴方はすり抜けてしまう。
あおいおそらは嫌いだから、カーテンはこのままで。
短く長く、貴方は気紛れで。
開かれた昼間の鍵に、僕は風に絶望を委ねるように。
目を閉じた夕焼けの中、振り解かれるブランコの。
その鎖に絡み付く、幼い指を辿った雨が。
何時の間にか夕闇を焦がし、酷い脱力と虚無が蔓延る。
燃ゆる太陽に呼ばれ、ひとたちが蟻の群れになり。
街に溢れ行く、恐ろしい様。
蝉の様な命の儚さに委ねられた、傷を知った僕らが。
膨らんだ赤い風船に、鋭い刺を待ち詫びる。
それはそれは愛おしい、夢に眠れ眠れば。
羊水の温度に吐き気さえ覚えた、胎児の頃の思いの様に今は。
明日に産み落とされぬよう、この闇に留まろう。
刻み憶えてしまった痛みに、ひかりを教えないままで。
|