⊂夜明け。⊃
2001年06月29日(金)



部屋の窓から見える空を、僕は何度も覗き見る。

月が逃げてしまう。
星を置いてまで、貴方はすり抜けてしまう。

あおいおそらは嫌いだから、カーテンはこのままで。

短く長く、貴方は気紛れで。

開かれた昼間の鍵に、僕は風に絶望を委ねるように。

目を閉じた夕焼けの中、振り解かれるブランコの。

その鎖に絡み付く、幼い指を辿った雨が。

何時の間にか夕闇を焦がし、酷い脱力と虚無が蔓延る。

燃ゆる太陽に呼ばれ、ひとたちが蟻の群れになり。

街に溢れ行く、恐ろしい様。

蝉の様な命の儚さに委ねられた、傷を知った僕らが。

膨らんだ赤い風船に、鋭い刺を待ち詫びる。

それはそれは愛おしい、夢に眠れ眠れば。

羊水の温度に吐き気さえ覚えた、胎児の頃の思いの様に今は。

明日に産み落とされぬよう、この闇に留まろう。

刻み憶えてしまった痛みに、ひかりを教えないままで。



My追加
 << 足跡  すべて  糸 >>



由弥 [御手紙]