黒く湿るような足跡が、遠く、遠くまで続いた。細く、儚く朽ちてしまいそうな月が、頼り無い夜に。逃げ出した部屋になど、後悔は落としていない。僕は歩く。冷たく澄んだ、透明な空気を掻いて。固い地を叩いて。藁の優しい匂いに、少し、胸をくすぐられても。あてもない、この年の最後の日。車のスピードに、鼓膜をふるわせても。僕は、僕でしか歩めない。固く、冷たい地球に、足を沈めて行く。全てを棄てて。光さえ見えない場所を求めている。