⊂最後の日。⊃
2001年07月10日(火)



黒く湿るような足跡が、遠く、遠くまで続いた。

細く、儚く朽ちてしまいそうな月が、頼り無い夜に。

逃げ出した部屋になど、後悔は落としていない。

僕は歩く。

冷たく澄んだ、透明な空気を掻いて。

固い地を叩いて。

藁の優しい匂いに、少し、胸をくすぐられても。

あてもない、この年の最後の日。

車のスピードに、鼓膜をふるわせても。

僕は、僕でしか歩めない。

固く、冷たい地球に、足を沈めて行く。


全てを棄てて。



光さえ見えない場所を求めている。





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由弥 [御手紙]