⊂水。⊃
2001年07月11日(水)



最近、頓に喉が乾く。
砂漠症候群だ…(謎)。

何も考えられない。
毎日何も感じない。
どうでも良いことばかりだからか、それとも。
身体が覚えた以上の、変化有る生活に飢えているからか。
何かないかなー。
生きててもしょうがないじゃん。
つまんない。

昔の話しをしようか。

母親が出ていく前も、あたしはばぁちゃんコで。
毎晩眠る前に、『金のオノと銀のオノ』という話しをしてくれた。
あたしはその話しが特に好きで、布団に入ると必ず催促した。
うとうとしながらも、その話しを聞いて。
布団の中で、腕枕で眠る。
うで。
何故かあたしは子供の頃、『死』と云うものをとても恐れていて。
隣で眠るじいちゃんとばあちゃんが死んでしまうことが、実感が薄くも。
居なくなってしまう…ということが酷く怖かった。
欠けることが怖かった。
優しい声でばあちゃんが歌う子守唄を聞くのが、とても嫌だった。
とても悲しい歌で、あたしは泣きそうになる。
とてもとても嫌だったの。

あたしが中3の時、じいちゃんが死んだ。
朝早くに父親から電話があり、母親の家に居候していたあたしは起こされて。
少し前から検査入院をしていたじいちゃんは、その朝。
ひとりの部屋で、ひとりきりで、息を引きとったそうだ。
誰も気付かないひとり、ふわり、と魂を落とした。
春で、あたしは3年生になったばかりの頃。
「お前にじいちゃんは殺されたんだよ」
穏やかに、きちがいじみた口調で、あたしはばあちゃんに云われた。
「学校にも行かないで、苦労させた所為で」
何も感じなかった。
ただ、あたしがじいちゃんを殺した現実があたしの記憶に成った。
あたしはじいちゃんを殺したの。
あたしは人を不幸にする。
だから、在ないほうがいい、と思った。

あたしは御葬式で泣かなかった。
他人様から見れば”じいちゃんの「死」に対してはなむけのそれさえ無い事”はおかしなことだったらしい。
気持ちの悪い顔が、揃ってあたしを見ていた。
あたしは、死を理解出来ない。
誰かが死んだら泣かなきゃいけない、それは義務的なことなの。
あたしには分からなかった。
『死』は怖い事であって、『死』は…ナニ。

その時、あたしの中に残ったのは、じいちゃんを殺したのはあたしだという罪悪感。
あたしの所為で彼は死んだし、回りの全てはあたしの所為で泣いている。
あたしが居なければ良かったのにね。
ばあちゃんが、じいちゃんの話しをするたびに罪悪感は蘇る。

あたしが死んで、償いましょうか。

貴方はきっと忘れてしまった、あたしの柵、その言葉。

あたしに報いの道は、ひとつだけ。

きっと、それだけ。



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由弥 [御手紙]