⊂羽根の無い猿。⊃
2001年09月04日(火)


月の川をくぐり抜け、光る石が踏まれて転がる。

長い長い帰り道は、僕と誰を繋いで来た。

辿り着けない距離は、幼い僕をおいて。

蟋蟀の擦り切れる夜は、さやかな寝息を立てた夜風が。

薄い布を切り裂くような、酷く恐ろしい夢を見る。

変わり果てた、この身体の音は。

きっと貴方にも聴こえないでしょう。

拙い声は目蓋を切り裂いた。

遠く続いた空は、今も枯れ葉の匂いをさせて。

いつまでも繋いだてのひらへ、残すのは抜け殻の夢。

完璧な迄に全てを擦り抜けた僕の繋いだ想い。

貴方を裏切り続けた罪も唯一、赦してくれるのは。

決して先には進む事の出来ない僕が繰り返すこの季節に。

埋もれた脚があの庭から引きずり出してくれる貴方だけ。





死んでしまった。





もう。


赦してはくれないの。



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由弥 [御手紙]