あたしは、あたしが潰れる時を思い返した。 数えてみると、幾つあるだろう。
朝、起きた空の憂鬱さ。 学校へ行くバスの中。 駅から学校までの道のりの脳味噌。 教室。 人ひとヒト…。 逃げるように学校から抜け出せば。 あたしは少しだけ冷静になる。 そして何処に帰ればいいのか分からなくなる。 あたしは家が分からなくなる。 学校に行ったって教室に辿り着けなくなる。 それらは同じ。
一日を思い返せばベッドの上で、腕を切る。 はぁ、やっと終わる。 潰れるあたし、たくさんいる。
どうしても逃げたいけれど、どうすればいいか分からなくなる時。 あたしは腕にカッターを当てる。 目を瞑って血塗れの腕を想像するけれど、それだけじゃおさまらず。 熱く熱く、カッターの刃をあたしは銀色だと目が見えなくても思える。 きっと。 カッターで切る腕は熱くて銀色の眩しい感じがするんだ。 腕を切るの好きなの、多分。 赤い色が好きだから。 一日間、お世話になった青く汚れた血が。 空気と煙草に浄化されて、綺麗な赤になる。 あたしはそうやって繰り返される毎日を。 上手に綺麗に終わりにしている。 今、昨日と明日を繋ぐ行為はただ、あたしの目には見えなくて。 痛いそれを目印に、一日の終りを感じてるのよ。
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