⊂宝物箱。⊃
2002年04月15日(月)

小さい時ね、六段ある大きなタンス有った。
その下から三段目があたし、2段目が妹。
そうやって、お母さんから宝物箱を与えられた。
あたしの宝物箱にはクダラナイものばかり入ってて。
いつもなんでも買って貰える、妹のとは大違いだった。
だから学校から帰ってくると。
まず、妹のトコロから取っては、あたしの方に入れ替えて、隠すの。
匂い玉も、人形も、ガムも取った。

小学校一年生の時の友達が。
匂い玉や消しゴムの入った宝物を見せてくれた。
庭に隠してあるの、また隠してた。
ひとりで学校から帰って来た日、あたしはそのコの家の庭に行った。
気付いたら手に持っていて、あたしは必死で自分の宝物箱に隠してた。
あたしにはなにもない。
宝物箱に仕舞っておくほど大切なものなんて。
きっと何ひとつも持ってなかった。
いつも誰かが羨ましくて、どんどん自分が嫌いになって。
そうしていつか、大人にさえ成れなくなっていた。

怒られて殴られても、何で怒られたのか分からなかったの。
妹が泣いたり、ピアノを弾かなかったり、眠らなかったり。
そうすると、父親は怒ってあたしを殴ってた。
お母さんが言いつけるの、あたしを知らないコを見るような目で見て。
殴られてるの、何も知らなくて、お母さんに腕を伸ばして。
助けてって言っても。
妹を抱きながら、殴られてるあたしを見てた。


大切なもの、あたしにはなにもない。



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由弥 [御手紙]