小さい時ね、六段ある大きなタンス有った。 その下から三段目があたし、2段目が妹。 そうやって、お母さんから宝物箱を与えられた。 あたしの宝物箱にはクダラナイものばかり入ってて。 いつもなんでも買って貰える、妹のとは大違いだった。 だから学校から帰ってくると。 まず、妹のトコロから取っては、あたしの方に入れ替えて、隠すの。 匂い玉も、人形も、ガムも取った。
小学校一年生の時の友達が。 匂い玉や消しゴムの入った宝物を見せてくれた。 庭に隠してあるの、また隠してた。 ひとりで学校から帰って来た日、あたしはそのコの家の庭に行った。 気付いたら手に持っていて、あたしは必死で自分の宝物箱に隠してた。 あたしにはなにもない。 宝物箱に仕舞っておくほど大切なものなんて。 きっと何ひとつも持ってなかった。 いつも誰かが羨ましくて、どんどん自分が嫌いになって。 そうしていつか、大人にさえ成れなくなっていた。
怒られて殴られても、何で怒られたのか分からなかったの。 妹が泣いたり、ピアノを弾かなかったり、眠らなかったり。 そうすると、父親は怒ってあたしを殴ってた。 お母さんが言いつけるの、あたしを知らないコを見るような目で見て。 殴られてるの、何も知らなくて、お母さんに腕を伸ばして。 助けてって言っても。 妹を抱きながら、殴られてるあたしを見てた。
大切なもの、あたしにはなにもない。
|