セクサロイドは眠らない
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俺はさ、男の子だから
愛人業
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天気がいい日は、事務所が入っているビルの屋上に上がってみる。蒸し暑い夏の空気がドロリと体を覆うのを感じる。
屋上には、3年前、ここから飛び降りてしまった小学校2年生の男の子の「心」がこびりついていて、私は、時折、その「心」に話し掛けてみる。この子の親は、子供が突然、ビルから飛び降りてしまったことで、深く嘆き哀しんでいる。原因も分からない自殺だと。
本当のところ、その子に自殺の意志は無かった。ただ、童話に出てくる言葉をつぶやけば、空を飛べると思って、手すりの外に飛び出しただけなのだ。だから、子供の「心」は、幸福で、解放されている。
どう?楽しい? 「うん。すごく」
何度も、屋上の手すりを越えてみせる「心」に向かって、私は訊ねる。
「パパとママは、もう、ぼくの姿が見えてないんだ。ぼくの知らない、かわいそうな子供のことばかり考えて泣いているんだよ。」
パパとママは、手すりの内側にいるから、手すりの向こう側に飛び出せたキミのことが分からなくなっちゃったんだよね。手すりの内側にいる人間は、手すりを乗り越えてしまった人間のことは、いつだって理解できない。
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夜、「誰か」が訪ねて来る。見た目は豪胆なのに、とても感じ易い男だ。
「誰か」のモノは、少々荒っぽい動作と裏腹に柔らかいままだ。
「最初は、ちょっと駄目なんだよ」 照れたように言う。
「時間はいくらでもあるから。ゆっくり、やろうよ」 男に指を使って、愛撫してもらう。溢れてドロドロになった私の欲情を感じてもらう。ほどなく男は固くなる。
世の男は勃たない言い訳をするのに、世の女はどうして濡れない言い訳をしないで済むのだろう。と、何となく思う。手すりを越えないといけないのに、と思う。
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