セクサロイドは眠らない
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俺はさ、男の子だから
愛人業
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私は、見る者によって、違う顔に見えるらしい。
男は、初めて私の顔を見た時、激しく驚いていた。「いなくなってしまった私の妻にとても良く似ている」と言った。
その男は、時折やって来るようになった。妻だった女の浴衣を抱えて。妻が失踪してしまった悲しみを癒すために。
来ると、男は、私を風呂に入れる。丹念に時間を掛けて、隅々まで洗う。優しく洗う。決して痛くしないように、そうっと洗う。それから、髪をくしけずる。耳元で、子供をあやすように言葉をかけながら。そして、化粧を施す。唇は、血のように赤く。乳首にも化粧をする。
妻の物だった浴衣を着せられ、髪を結われた私は、一晩中、男の言葉にいたぶられる。男は、決して触れて来ない。挿入もして来ない。ただ、何月何日、お前は他の男に抱かれただろう、とか、そんなことを繰り返し繰り返し責められる。
私は、男の妻のふりをして、「ごめんなさい」「ごめんなさい」とうわ言のように謝り続ける。男の、憔悴した、何かに取り憑かれたような顔に、私は欲情する。
夜が明けて、一回り小さくなった男は、ふらふらと帰って行く。
「あの男も、もうすぐ・・・」
もう、あの男の妻の顔とは似ても似つかぬ顔になった私は、小さくつぶやく。
私には、いなくなった筈の彼の妻が、彼の家の庭の牡丹の木の下に埋められているのが分かる。その牡丹は、一年中咲き続け、重たい花びらをボタリボタリと落としているのだ。
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