stray notes

氷砂糖

My追加

戦争と映画
2001年08月15日(水)

小学生のとき、無料、もしくは小額で、戦争の映画を見られる券が配られていた。何回か行ったのだが、ひとつだけ、今でも覚えている作品がある。とくに名作とか大作ではないと思う。「おこり地蔵」とかいう題だったような気がする。実写とお人形が混じっていたような感じで..

昔、笑い地蔵、という、にっこり笑っているお地蔵様があって、地域の人に愛されていた。ある日原爆が投下され、いつも挨拶してくれる女の子が、お地蔵様の足元で、「みず..」と呟いた。お地蔵様は目からぽろりと涙をこぼした。女の子は、「ありが、と..」と、笑顔になってこときれた。お地蔵様は、柔和な顔を曇らせたかと思うと、徐々に激しい怒りの形相になり、そのままばらばらと顔が崩れ、胴体だけになってしまった。

細部はほとんど覚えていないのだが、お地蔵様の顔が、怒って崩れたところは今でもよく覚えている。子供ながら、とても恐くて悲しかった。戦争はいけない。原爆はいけない。平和は尊い。善良なひとが安心して暮らせるのは、とても大事なことだ。罪のない命は、守られなければいけない。

一番初めに出会った戦争に関する作品が、そう思わせてくれるものでよかった、と、今になって思う。



BACK   NEXT
目次ページ