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窓枠にはまった写真のような
空をときどき見る。職場の西側の窓には、夕日が大きくうつる。小さい子が、「わー、くもにおひさまがあかくとけてるー!」と叫んだりするので、ふっと仕事の手をとめて、指差すほうに見とれてしまったりする。「きれーだねぇ..」と、そばにいるおばあさんが相槌をうっている。わたしも心の中で頷く(本当に綺麗だ。ああでも仕事しなきゃ)。
ちなみに南にある窓も日当たりがいい。こちらの窓は、天井近くの壁をずーっと細くくりぬいたような位置にある。開けるときは、大きなねじのようなものを巻くと、ひとつづつ開いていくような仕組みになっている。時間によっては、壁際で働いていると、頭が暑くなったりする。この窓は奥の作業室ともつながっていて、そこでメールを打ち出したり、電話をかけたりしていると、ときどき空が視界に入る。
青い空と白い雲を仕事中に見てしまうと、わたしはとても悲しくなる。何もかもほっったらかしにして、どこか遠くへ逃げたくなってしまうのだ。「どこか」は、特定の場所ではなく、漠然とした..だだっ広い草原であるとか、誰も居ない海とか、そういったイメージの場所。勿論生きていく以上お金はいるし、働かなくて生きていけるほど裕福ではないので、わたしはその場を離れないけれど。
秋の澄んだ空気の中、気持ちは苦しいほどさまよいたがる。
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