松屋に時々行く。夫とも行くし、ひとりでも行く(この場合の松屋は、銀座にあるデパートではなく、牛丼とかを売っているお店のほうです。デパートの松屋は2年に一度くらいしか行かないから。あ、話がそれる)。お持ち帰りをすることはほとんどない。大抵空腹にたえきれず入るので、店内で食べることになる。 食券を買ってカウンター席に座る。だいたいどの店も厨房が見えるので、本や雑誌を持っていないときは、なんとなく働いているひとたちを眺めてしまう。先日行ったお店では、若い男の子が、すこし年上の男の子に、あれこれ指示されながら働いていた。動作がぎこちなく、いかにも慣れてません、働きはじめです、という雰囲気が漂っている。 しばらくしてドアのほうから、サラリーマンらしき男性のお客が、「これ。両替してよ」と、若い男の子に500円玉を手渡した。ああ、新硬貨か旧硬貨のどっちかしか使えない自販機なんだな、とわたしはサラダを食べながら思っていた(だいたいサラダが先に出る)。が、若い男の子は、両替?100円に? とでもいいたげに止まっている。そのやりとりに気付いたすこし年上の男の子が、「失礼しました。少々お待ちください」と店の奥に入っていき、「お待たせしました」とかえってきた。その間、若い男の子はぼうっと彼を待っていた。うーん、わかるのかしら、そのままで。でも、日数がたてば自然に身につくかなぁ。わたしはご飯とおかずを食べながら思っていた。お味噌汁は最後に飲む(猫舌なので)。食べ終えて席を立つと、若い男の子とすこし年上らしき男の子の、「ありがとうございました」という声が背に響いた。挨拶は上々。 また数日後、今度は夫と一緒に食べていた。その店では若い子たちに混じって、40代〜50代くらいの女性が働いていた。その女性は背が低く、カウンターのはじにある食器をとるのが大変そうだった。ちょこまかとよく動くのだが、いまいち要領をえていないというのだろうか、テンポがずれている。なかなか味噌汁がこなくて困っているお客がいた。 店を出てから、夫が「ああいうひとってたまにいるよね。仕事の優先順位とかがよくわからないんだろうな」と言っていた。夫は仕事ができるほうだし、人を動かしたりもするので、そういう見かたになるのだろう。責めているのではなく、単純に冷静に事実を言っているのだ。しかしわたしは下っ端として働いているので、そしてお世辞にも仕事ができるとは言いかねるので、「うーんわたしはどっちかというとそういうほうだからね。身につまされるようなところがあるけど。でも、はじめたばっかりなら、そのうち慣れるんじゃない?」と言った。 春って、そういうひとが増えてるんじゃないかな。松屋に限らず、あちこちに春バイトさんがいるような気がする。馴染むまで、最初はどの仕事も大変だよね。でも、慣れたらどうってことなくなるのかもしれないし。それまでお互い頑張りましょー、と思って気づく。時間が経ってもなかなか慣れないわたしって、成長してないというか進歩が遅すぎるかも..と。
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