stray notes

氷砂糖

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名前について(旧コラムより)
2002年03月26日(火)

こどものころ、自分の名前があまり好きではなかった。ただ、名前を好きな人に優しく、愛しさをこめて呼ばれてからは、そんなに悪い響きでもないかな、と思えるようになった。

ものすごく姓を変えたかったわけでもないが、どうしてもこの姓でいたいと思ったわけでもなく、ただ結婚するなら相手の姓になるんだろうな、とぼんやり思っていた。そういうものだと思っていた。

実際結婚して、姓が変って、書類や手紙などに新しい名前を書いたとき、多少の違和感はあったがすぐに慣れた。新姓がとても好きというほどではないが、別段いやということもなく。

しかしはじめは人に新姓を呼ばれても、どうも自分のことという気がしなくて困った。たまに銀行などで旧姓と同じ人が呼ばれていると、思わずハイと返事しそうになった。

今は、新姓に馴染みきったわけでもないのに、旧姓もぴんとこなくなってしまった。名前なんて記号のようなものだから、本人と周囲がわかればいいもの、とも思うが。自分が誰でもないような、どことなく奇妙な感覚が残っている



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