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大雨の記憶
ものごころついてからは、床上浸水とか、膝下浸水とかを経験したことはない。ただ、小学校のとき、ものすごい大雨があり、校内で待機した記憶がある。放課後、部活で残っていた生徒と、数人の教師で、かたまって雨がやむかおとなしくなるかするのを待っていた。
先生はラジオで情報を確認したり、どこかへ電話をかけたりと忙しそうだったが、生徒たちはあまり何も考えず、どちらかといえば楽しそうで、しかしその楽しさをストレートに出してはいけなさそうだから、楽しげにならないようにしていたような気がする。ああいうときって、どことなく、軽い興奮で、妙な連帯感のようなものが生まれてしまうのではないだろうか。いつもより心身の距離が縮まり、ふだん一緒にいないような、タイプの違う子達も皆仲良く話していた。
窓の外は強い雨と風で、音も勢いも激しそうだ。校庭は、池のようになっている部分もできていた。細い木が斜めになぎ倒されていた。..このあたりまではよく覚えているのだが。結局、数人ずつの班に分かれ、応援に来た父兄達と、なんとかして帰ったあたりのことは、ほとんど忘れてしまった。気に入った、印象的なところだけ覚えているのだろう。
たまに、というか今となってはまれに、あの日のことを思い出す。だからどう、というものでもないが。
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