朝、暖かそうなのでコートを着ずに、スーツで出かけた。駅前の駐輪場で、警備員もしくは管理人らしき男性が、「いってらっしゃいませ」とか「お気をつけて」とか声をかけている。わたしはそういうとき、妙に気恥ずかしくなって、足早に通り過ぎてしまうのだけれど。ああいうひとがいなくなると、あれ、なんか違う、と思いそうだ。そして何、が違うのかは思い出せないかもしれない。 仕事が終わってから、ふらふらと紫木蓮の咲いている並木道に入る。そういえば、紫木蓮はよく見かけるのに、白木蓮はあまり見ないなと思う。逝くときは……とenpituでも書いていた女性がいるけれど、どういう花だろう、と思う。気がつくと、隣駅の近くまで来ていた。JR一駅ぶんはそうでもないのだろうけれど、地下鉄一駅ぶんは、簡単に歩けてしまうなぁと思う。 見知った駅につき、昔(学生の頃)行ったことのある漫画喫茶に入る。かなり年月が経って、周りのお店も変わっているのに、まだちゃんと生き残っていて嬉しい。昔7巻くらいまで読んでいたのを、12巻くらいまで読む。絵はそんなに上手いと思わないけれど、好感のもてる話。舞台が平安なので、そういう関係の本も読みたいな、と微かに思う。家のどこかにあるのは確かだけど、発掘が大変なので。 駅に入る前、桜を見る。川に向かって、柔らかに連なる薄いピンクのかたまり。独身の頃は、仕事の後ひとりで桜を見ても、それなりに楽しかったのに。最近駄目になったな、と思う。一緒にこの景色を分かち合いたい人が、どうしていまここにいないのだろう、と悲しくなるから。 食後、消耗品の買出しにドラッグストアへ。車だったので、夫は地元の桜並木の通りまでまわってくれた。2キロあるらしい。明かりのある部分が綺麗だ。買い物をして、戻る。駐車場近くには、ハイツ××、という建物のそばに、大き目の桜が一本ある。××桜、と呼んでいる。そこだけゆっくり歩く。 昼は汗をかくほど暑かったのに、外は寒い。明日は雨だという。桜の時期ってよく雨が降っている気がする。そのたびに嘆いている気がする。
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