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初歩の初歩からつまずいて
「雨っていやですねー」と言われ、言葉に詰まる。わたしは雨も嫌いじゃないんですが、かといってこのひとだってべつにロッカー室でたまたま一緒になっちゃって、黙ってるのもなんだし話題が天気のことくらいしかなさそうだしで口にしただけで、べつだん雨が嫌いで仕方ないってわけでもないだろうし、少ししか一緒にいないのに晴れと雨の論戦がしたいわけでもないだろうし、まあわたしも晴れのほうがいいといえばいいし、ときには雨で困ることもあるんだけど、どちらかといえば雨にぬれるのも雨を眺めるのも雨の中傘をさして歩くのも大好きで、ここでいやといってしまうと嘘つくみたいだし、それだけじゃなくてこれからも雨のたびにそういわなくちゃいけないことになっちゃうかもしれないし、とかなんとか考えつつ「それもそうですねー」みたいなことを感情のこもらないまま言ってしまった。こういうことをいちいち言葉にしながら考えるからテンポがずれるんですよね、たぶん。もっと回転を早くするか、あまり考えず口先だけで合わすとかできればいいのかな……。しかしこの日の午後はきれいに晴れていたなぁ。夕方やけに風が強かったけど。
少し歩くと、外では藤の花房が重くなっていたり、ハナミズキが花開いていい香りがおりてきたり。桜はほとんど葉っぱになって、しかも青々としているけれど、八重のはまだ咲いてますね。これも散るときは花吹雪になるのかな?
意識が遠くへ飛びたがるのは、現実がつらいからなのかな、と漫画喫茶で思う存分逃避しながら思う。この程度でつらいとしたら、本当に大変な人からは怒られてしまいそうだけれども、こういうものは相対的なものでなく、絶対的なものなのかもしれないし。深刻で重大な辛さではなくとも、漠然と緩やかな、それでいて確かな辛さがあるのだ。
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