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通勤風景その2
いつも変な時間帯に帰っているので、大抵帰りの電車は座れる。今日、わたしの隣に座っていたのは女子高生だった。髪はパーマがかっていたけれど、顔は眼鏡をかけていて化粧っけなし。とくにスカート丈も短くなく、全体に校則どおり、という感じの着こなし。ふだんわたしは疲れて寝ているか、本を読んでいるかなので、そんなに隣のひとをよく見たりはしない。今日は、彼女が何度ももたれかかってきたので、結果的に観察してしまうことになったのだ。
彼女は膝にバッグをのせ、その上に英単語の本、その上に暗記用の赤いシートをのせていた。懸命に覚えようとしているようだが、同時にかなり強い眠気がおそってくるらしく、ふうーっと眠りに引き込まれては、あ・いけない! という感じで体勢を直す。はじめは(大変だなぁ)と思っていたが、だんだん(あのう、もういいよ。気にせず寝ちゃいなよ)と言いたくなった。何度も肩のあたりを行ったり来たりされるよりは、ずっと寄りかかられているほうがラクだ。
前回の女性と気持ち的に扱いが違うのは、べつだん若いほうがいいとかいうわけではなく、たぶん行きはこれから仕事だけれど、帰りは家に戻るだけだからだろう。立っているのと座っているのでは心身の余裕も違うし。彼女は一度、本をわたしのほうへばさりと落とした。手も、力が入らなくなっていたのだろう。赤面しつつ小声で謝ってきたが、あー、大丈夫、という感じでひらひらと手を振っておく。その後も彼女は眠るまいとしつつ寝てしまい、起きなくてはと気付き姿勢を立て直す、というのを繰り返していた。
わたしは彼女より先におりる駅についた。そのときの彼女はもう眠りに抵抗できず、ほとんどわたしの肩に頭を沈めていた。わたしはゆっくりと肩をずらし、ごめんね、と言って立ち上がった。彼女は、どうもすみませんでした、と先程より真っ赤になっていた。うーんなかなか可愛いかったです(そーいう趣味ではないですが)。
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