stray notes

氷砂糖

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おばさまありがとう
2003年07月19日(土)

洗濯物を、コインランドリーに持っていった。いつもは10分100円の乾燥機を使うのだが、今日は量が多いし、たまには7分100円(こちらのほうが火力が強い)を使おうかな、と思い、下の方の乾燥機に洗濯物を入れた。お金を入れて、スイッチを押して……。? いつまでたっても動かない。と思ったら、上の段の乾燥機が、中に何も入っていないまままわりはじめた。うわ、押すとこ間違えた! しかも空焚き! ひえー火事になっちゃったらどうしよう!

「すみませーん。すみませーん」
どんどんと店主の家に通じるドアをたたくが、反応がない。いないのかな……。そりゃあ常駐してるわけにもいかないだろうけど。どうしよぉ……。呆然としながらあせっていると、後ろから、
「どうしたの?」
と、小柄でショートカットのおばさまが声をかけてくれた。
「えーと、下のでかわかすつもりだったんですけど、上のスイッチ押しちゃったみたいで」
「あらー。お金もったいないわね、いれなおせば?」
「え。あの、途中であけていいんでしたっけ?」
「んー? 大丈夫じゃない? あけてみましょうか?」
 って、このかたもうあけてらっしゃるし。…あ、大丈夫なんだ。とまった。
「あ、ありがとうございます。いれなおします」
 わたしは急いで下の機械から上の機械にいれなおした。
「このスイッチもねー、まぎらわしいわよねー。わたし、ときどきあけちゃうのよ。けっこう平気なのよね」
 朗らかに話している彼女に、
「どうもありがとうございました」
 と告げ、わたしはいったん家に戻ることにした。

 帰る道々、わたしって応用力ないよなぁ、機転もきかないしなぁ、と少々情けなかった。わたしがパニック映画に出てたら、はじめのほうであっさり死ぬか、他の登場人物に迷惑をかけながら中盤まで生き延びるか、何にせよパニクって、自分で道を切り開けないまま死ぬんだろうなぁと思ったりした。

 何はともあれおばさまに感謝。ああいう、地に足のついた、少しのことで動じない、そして臆することなく人に手を貸せる人はいいなと思う。思うけど、そちら側に回れる日というのは、もしかしたら来ないのかもしれないなぁ……。




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