stray notes

氷砂糖

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運転手さん、ありがとう。
2004年05月06日(木)

年末年始のわたしの文を読んでくださったかたには、「あーまた言ってるよー」という感じかもしれませんが。はい、わたしは長期休暇明けに毎回パニクっております。どう間違っても社会的とも外向的ともいえない、外に出て人と接するより家にいて閉じこもってるほうがいい、という性格だということもあるし、今いる場所に適応してしまうとそれ以外の場所を忘れてしまう、という記憶力の問題もあり、この日もわたしは、再び不安と恐怖とに苛まれながら職場へ向かいました。

おそれていたほどのことはなくあっけなく仕事は終わり、ふらふらと帰宅途中。時間的に何か食べたほうがよさそうだったのですが、地下鉄最寄駅周辺には食べたいと思うお店がなく、空腹もそんなに切実ではなかったので、気分転換(ストレス解消?)のためにバスでJR最寄駅のほうまで行ってみることにしました。

ちょうどJR2駅目(最寄駅の次)行きのバスが来たので、じゃあこれで行こうかな、と乗り込みました。ドアが閉まってお金を払おうと料金表示を見ると、あれ? JR最寄駅がのってない。
「あれ? これって××駅行きますよね?」
「いえ、行かないですよ?」
「え? 通らなかったですっけ」
「あー、△番線のなら○○行きでも途中で止まるんですが、この路線のは行かないんですよー」
「うわぁ、すみません、間違えました。えっと、どこで降りよう」
「□□で降りて乗り換えるといいですよ」
「あ、はい、□□ですか。じゃ、そこまでは・・円ですね」
慌てて財布を開きお金を出そうとすると。
「あ、いいですよ? 間違えちゃったんでしょう?」
運転手さんは30代かな、おじさん、とまではいかないけどおにいさん、は少しきびしそうな年の男性でしたが、優しく笑って言ってくれました。小額なので払ってもそんなに懐は痛くなかったのですが、折角そう言ってくださったのだし、何よりけっこう恥ずかしかったしで、結局そのまま□□まで無賃乗車(!)してしまいました。どうもありがとうございます、どうもすみませんでしたと言って降り、次のバスを待ちました。

なかなか次の、××駅を通るバスは来なかったのでで、もう諦めて帰ろうかしらという気もしたのですが、それだとご親切を無にしてしまうし、とだいぶ待ってから来たバスに乗りました。バスの中で。わたしは誤り多く小心な人間だけれど。この世はそんなに(少なくとも休み明けにおびえるほどいは)怖いところでも、悪いところでもないのかもしれないなぁ。そんな風に思いながら××駅で降りました。

わたし的にはとてもしみたのですが……もしかしてこれって、バスの運転手さんのマニュアル的にはよくないのでしょうか。そうだったら非常に申し訳ないのですが。あの日休み明けでささくれていたわたしには、この世の印象が少し違って見えたできことだったので、なんとなく書き残したかったのです。



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