umityanの日記
DiaryINDEXpastwill


2015年10月29日(木) とっちゃん坊や達の旅(10)高知の夜。

ホテルのロビーに鼻ひげをつけた仲居さんが待っていた。今から我々とっちゃん坊や達をカラオケ店へ案内するというのだ。我々も鼻ひげを着けたまま、仲居さんの後ろに従って、ホテルをでた。ここは町の外れと見えて、まわりは暗く、店も少なかった。我々と出会う人も、ほとんどいなかった。

ちょこちょこと数分歩いたところに、ネオンのついた小さな店が見えた。「えええつ、ここ?」と、若干、いぶかしながら店に入ると、なんと、そこはスナックだ。専門のカラオケ店ではなく、スナックにカラオケが設置してある普通の店だった。店内には、ママさんと、そのだんならしき男性がいた。ママさんと仲居さんは知己の仲のようだった。店内に入るなり、ママさんとその男性は大いに笑い転げた。未だかってない奇人変人の登場に、度肝を抜かしたようだ。

ここしかないのなら仕方がないと、我々はボックス席に陣取った。飲んで、一人3千円で値段の交渉を行った。カラオケ代は「ただ」とのこと。「それいけワンワン」で、ネズミ男君が真っ先にマイクを握った。出し物は、彼の得意中の得意の歌、中村雅俊さんの「ふれあい」という曲。「寂しさに出会うたび、あの人を思い出す・・・・・」。まさに、今宵はふれあいのタイムである。

身振り手振りを交えて、ネズミ男君が熱唱した。点数は、な、なんと、87点。「ほおーーー、なるほどねえーーー」。会場からは拍手喝采だ。と言っても数人しかいないんだが。高知は点数が甘いぜ。

次に、僕ジャイアンが井上あずみさんが歌う「君をのせて」というジブリの歌を披露した。「父さんが残した熱い思い、母さんがくれたあのまなざし、地球は回る、君を乗せて・・・・」。こんな歌詞だったっけ?。今、正確には覚えていない。はい、願いましては、それいけ87点。ネズミ男君と並んだぜ。ネズミ男君は「にたーーっ」と、不気味な笑みを浮かべた。

さあ、次はのび太君の番。彼はもっぱらムード曲専門の紳士。今宵の出し物は、「いい日、旅立ち」だったかなあーー?。思い出せない。点数だけは覚えている。またもや87点。「一体ここのカラオケは、どうなってんの。87点が限度でとめてあるんかあーー」と、ネズミ男君が首をかしげた。

スネオ君は、過去、現在、いまだかって歌を披露したことがない。今宵も、焼酎をすすりながら、僕たちの愚行を眺めて、「ニタニタ」と笑っていた。ネズミ男君が再びマイクを握った。山口百恵さんの「秋桜」で泣こうというわけだ。歌の最後に彼は「かあーーーちゃーーーーん」と叫ぶ。これが特徴だ。「いやああ、泣かせるぜえーーー」と思ったが、誰も泣いていない。仲居さんだけが偽りの涙を見せながら、一人、ほくそえんでいた。

まあ、こんあ塩梅で、高知の夜は更けたのでした。その後も、さんざん歌い、疲れてホテルへ戻った次第である。仲居さんはいつの間にか消えていた。




umityan |MAILHomePage

My追加