求 - 2002年05月04日(土) 5月4日深夜0時をまわったときに、携帯が鳴った。 相手は「会えないかな?」と、ちょっと涙声で僕に言った。 距離は60km以上離れている。時間も遅い。 僕は一瞬迷ったが行くことにした。 僕は相手になにかを求めることはあまり得意ではないと思う。 求める思いをうまく言葉にできないし、どうやって求めればいいのかわからないところも多い。 もともと人になにかを求める人間ではないし、僕が誰かに対して求めることが許されていないだろうという脅迫めいた感情もあったりするのだ。 個人的な趣味としては、ズボンよりもスカートのほうが好きだし、 僕が無口なほうなので、それを気にせずたわいもない話を続けてくれる人の方が好きだし、 短い髪より長い髪が好きだし、 ふくよかな女性よりは細めの女性の方が好きし、 ふつーの子よりも、ちょっと大きな傷をもっているような子が好きだし、 淡白な子より、エッチ好きの子のほうが好きだ。 ただ、こういうことは僕自身の趣向の問題であり相手になんら求めることはない。 ズボン好きでも、無口な人でも、髪が短くても、ふくよかでも、箱入り娘みたいな子でも、淡白な子でも好きになれば付き合いたいと思う。 少し話がずれてしまったのだけど、求められることは非常にうれしいことなのだ。 金銭的に求められても僕はなにもしてあげられないのだけど、 もし、相手が本気で僕と会いたいと思っていると僕が感じたのならば、時間と金が許す限りどこへでも飛んでいくだろう。 それでもし、相手が僕になんのお返しもくれなかったとしても僕は愚痴一つ言わないし、そこに存在意義みたいなものを感じる気がする。 その相手が僕を求めた理由は「部屋にゴキブリがいたから眠れない」といった趣旨のものだった。 電話の向こうで「馬鹿馬鹿しいでしょ?ごめんね」というのだけど、 僕はそれを馬鹿馬鹿しいとは思わない。 人が不安定になる瞬間なんて他人にはわからない。 TVで誰かが言った「こんばんわ」という言葉で急に不安になるかもしれないし、 本を読んでいて急に頭がぼーっとなってしまって何も手がつかなくなることだってあるだろう。 「馬鹿馬鹿しいとは思わないよ。今から行く」といって車を走らせた。 「来てくれるなんて思わなかった。ごめんね」とその人は申し訳なさそうに言った。 その人を車にのせて5時間くらい運ドライブしたあと、3時間ほど車中で寝て家に送り届けた。 最後までキスすらなかったわけだけど、走り出していきなり僕の左手を触ってきたあたりはちょっとかわいく見えてしまった。 5日のお昼にはきちんと病院へ行き、親と食事をして、家に帰って寝た。 かなりのハードスケジュールだったわけだけども、僕は全然苦にしていない。 相手がその人だったから僕は行ったのではなくて、相手が僕を求めてくれたから行ったのです。 ただ、やさしくしすぎたかなぁと思わなくもない。 ...
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