死神の微笑み <4> - 2003年03月09日(日) 雪が降り出したら、これよりもっと寒くなるのだろう。 それがどんな寒さなのか想像がつかなかった。 冬の大阪でもたまに雪が降ることがあるが、夏を経験してきた僕の体は、去年の冬のことなんてほとんど忘れてしまっているし、 大阪で感じる寒さと、この新潟で感じる寒さは、何か違う気がした。 自分を落ち着けるように空に向けていつもより長めに吐いた白い息は、そのまま白い雲に吸い込まれていった。 きっと溶けた暖かい息は冷たい雪となって降り、積もるのだろう。と思った。 駅前にロータリーの面影らしきものはあるが、人の影がまったく見えない。 タクシーすら止まっていなかった。 そして、駅のホームに降り立ったときから密かに感じていた嫌な予感が当たってしまった。 僕は結局、あの笑顔の素敵な男性の駅員に頼らざるおえない。 あの笑顔の素敵な男性の駅員は、事務所の中で何か書類のようなものを書いていた。 しばらくそれを眺めていたが、机にむかっている彼は笑顔ではなかった。 どうやら凍っていなかったらしい。少し安心した。 笑顔の素敵な駅員は、僕の視線を感じたのかふとこっちを振り返ったので、 僕は笑顔ではない駅員の顔を正面から見ることになった。 椅子に座ったまま上半身だけをこっちに向けて座っている駅員は、どことなく可愛らしかった。 「あれ?どうかしたんですか?」 「タクシーが止まってなくて・・・」 と言うと、すうーっと滑るようにこっちに寄って来て、にこっと満面の笑みを浮かべてみせた。 「ちょっと、中に入ったら?暖かいよ。」 僕はその笑顔に導かれるかのように事務所に入っていった。 確かにそこは暖かかった。 顔の筋肉が、幾分動かしやすくなったような気がした。 事務所のちょうど真ん中あたりに古いストーブが置いてあり、 その上にはやかんがのっていて、そのやかんからは真っ白な湯気がたち、それは空中に広がっていった。 あの湯気はきっとあの白い雲には溶けることができないんだと思った。 笑顔の素敵な駅員の他に2人の男性の駅員がいて、2人とも僕の突然の訪問を歓迎してくれた。 小説(のようなもの)を書くようになってから、 自分の想いを相手に伝えたり言葉にすることの難しさを感じる。 今載せてる小説だって、僕はその世界観も人間の相関図も、 それぞれの精神状態も感情の変化も、 主題もほとんどわかっている(つもり)だから、 それを僕は自分自身で評価できるんだけど、 実際こうやって文章化してみると、自分が意図していることとは多少違う気もするし、 でも、今の僕にはこういう言葉でしか現せないなぁと思ったり、 いや、他にも使える言葉があるんじゃないかとか・・・。 夜、電気を消して布団に横になるのがまだイヤだ。 今年に入ってずっとそういう状態なんだよねぇ。 今回のはかなり期間が長い。 このままじゃいかんな・・・。 ...
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