死神の微笑み <5> - 2003年03月10日(月) 60過ぎくらいの男性の提案で、4人でストーブを囲んで一服することになった。 差し出されたお茶は、香りがあまりしなくて、一口含んでも薄くてただ熱いだけのお湯みたいな飲み物だった。 それでも、その熱いだけの飲み物を飲むと、熱いものが喉を伝って胃に落ち、そこからそのぬくもりが体に広がっていくのがわかった。 遠い地へ来たことで、絡まって凍りついていた緊張の糸がゆっくり解けていく様な気がした。 ちょっと気持ちが落ち着いたところで、さっき聞けなかったことを聞いてみた。 「訛ってませんよね?」 いきなり質問された笑顔の素敵な男性の駅員は少しびっくりした顔をして、 お茶というにはやや物足りない飲み物をずずずっと飲んでから、 「あ〜、私ですか?私、本当はここの土地の人間じゃなんですよ。もともとは千葉です。 でも、雪が好きでこっちに越してきたんですよ。」 ここで見る彼は、さっきより若く見えた。 29歳だと言った。 一度、千葉の会社に入社したが、どうしても雪国で暮らしたくて3年前にはるばる新潟までやってきたらしい。 「雪は好きなんですが、雪ならなんでもいいって訳じゃないんですよ。 雪にはパウダースノーってのがありまして、それは割とサラサラした雪なんです。 名前、聞いたことあります? あれ、結構人気高いんですよ。 ただ、私が好きな雪はあれじゃなんだなぁ。 確かにスキーとかボードやるならサラサラのパウダースノーの方が気持ちいいんです。 それは本当に全然違います。 でも、私が好きな雪ってのはそういうのじゃないんです。 実際、この目で見てきたんですけど、あのサラサラしたのはなんか違います。 なんていうのかな。重量感っていうか、存在感とかそんな感じです。 パウダースノーで味わう浮遊感みたいなものが、僕には合わないんですよ。 ここには私が求める雪があります。 ここらへんの雪はたくさん水分を含んでるんですよね。だから結構重いです。 初めて雪を目にしたのは、高校の時で、修学旅行が新潟のスキー場にだったんですけど、もう、なんというか感動でしたね。 あの日以来、いつか絶対雪国で暮らしたいとずっと思ってました。 ここは最高です。だって、朝起きて窓を開けると、一面雪景色ですよ? 朝日の反射した雪ほど綺麗なものはないと思ってます。 夕日は夕日でいいところがあるんですけどね。 いやぁ、やっぱり朝だな。朝の空気っていうのは、綺麗なんです。すごく澄んでます。 人がほとんど動いていないんで、そうなんだと思いますけど。 そういう景色を見ると、空気っていうのは、昼の間に人の憎悪とか吐き出した愚痴とか・・・つまりネガティブな部分を吸収してくれていて、 夜の間にその蓄積されたネガティブな部分を浄化してるんじゃないかなって感じるわけ。 そうじゃなかったら、朝の空気があんなに気持ちいいわけないでしょ? おかしな話ですけどね。 とにかく、ここには私が求めるものはすべてあるんです。」 彼は目を輝かせて、それからも雪景色のすばらしさやら冬の日本海岸を旅したことを話をした。 今日は長めです。 だいたい25行を目安にしてたんですけど、 今の長さを25で割ると、68回で終ります(汗) ながっ!! 疲れ気味なのでここらへんで終わり。 ...
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