韓国語で「家族」は「かじょく」といいます。
うちの家族は父、母、そして、ひとまわり離れた姉が二人います。
私の記憶の中には、あまり父がいません。 なぜなら、殆ど会社の出張で日本なら地方、海外なら 台湾や大連に住んでいたからです。
本当は会社の招待で台湾に行ける筈だったんですが おじゃんになったそうです。 小さい私が飛行機に乗りたくないって、泣いてイヤがったから(笑)
家族旅行なんてゼロに等しいほどなかったのに せっかくのチャンスを台無しにした幼少の俺を恨むよ。
それはさておき。
そんな父が長い長い出張を終え、長い長い会社務めを終え 今はみのもんたの言った事を鵜呑みにしている主婦状態。
要するに定年退職した訳なんですが。
女系家族のウチでは、父の居場所は殆どありません。
菅井きんを妻に もたいまさこと室井滋と小林聡美を娘に 持った家庭を想像してごらんなさい。
口だし出来ないでしょう(笑)
そんな父は、文句があっても言いません。
物に当るんです。
だから、尚更タチ悪いんです。
何か気に入らない事があると、
ドスドスドスと階段をかけあがり バタンと激しくドアを閉めます。
具合が悪いと言ってすぐに寝こみます。 母が心配して、お粥を作って持っていくと ペロっとたいらげます。
仮病です。
要するに、かまって欲しいわけですよ。
そんな父に腹を立て、母は私が帰国する度に 愚痴るのです。延々と。
「そんなの可愛いもんじゃん。ほっとけばいいんだよ」 そう言っても、母の愚痴は止まりません。
一時期、鬱が激しかった時 それを聞くだけで、すごく凹んじゃって 自分の部屋に泣きながら駆け込んで 布団をかぶって、丸1日外に出られなかった事もありました。
予想外の事だったんでしょう。
母は何かを察して 夜、枕元に小僧寿し(そばセット)とプリン(とかのデザート系) を置いて去りました。(ちなみに↑は私の好物)
母も普段は強気なんだけど、肝っ玉は小さいんです。
父が不機嫌になると、文句は言うくせに 本当はすごく機嫌を伺いながら生活してるって 見ててもわかるんですよね。
なんか二人どこか素直になれなくて。
お父さんだって、気を使って 台所に立つんだけど、やっぱ男でしょ やりかたがどっか汚いんですよ。
母「お父さんがやると(以下略)」 父「じゃあいいよ、勝手にしろ」
ドスドスドス。バタン!
そのくり返し。
そんな二人を見るのもイヤで 一人で暮らしてぇなー、と思ってた頃に韓国で 就職が決まって。
まあ、ちょっと親から逃げたいって気持ちも どっかにあったんでしょうね。
親もそうなんだろうけど 私自身も人の目を気にして、すごく機嫌を伺ったり 自分の意見を素直に言えないタイプで。
それは親に対しても同じで、どっか素直に言えない なれない部分がありました。
本当は物をもらった時とかありがとうって言いたくても なんか気恥ずかしくて「ふーん。どうも」って言っちゃったり。
そーいうとこ、父にそっくりだ。
だけど、この数年韓国で鍛えられて 私は生まれ変わりました(笑)
というか、家族と距離をおいて 初めて親のありがたさってわかったんです。 この年になって情けないけど。
本当は普通にお勤めして、普通に結婚して 欲しかったらしい父。 漫画家という職業をどこか見下していたような 感じだったんだけど、やっぱり去年本を出してから 彼の私に対する対応がすごく変わった気がする。 これって認めてもらえたって事なんでしょうか・・。
逆に母は私の仕事にはとても理解のある人で 彼女自身も洋裁の仕事をしてるだけあって 「腕に職をつけなさい」と言ってくれる人でした。
そういう所に甘えてた部分もありました。 父、母、姉に「出世払い」という借金を どれだけしてしまったか・・・。
そんな家族に何も返せない自分が悔しくって。 私は単にお金が欲しいとかじゃなくて 自分の手で得た収入でせめて美味しいものを ご馳走するとか、韓国に招待するとかしたかったんですが 今は自分の生活するだけで手一杯で。
マジ情けねえ・・・。
そんな気持ちで、去年末から もんもんもんもんしてて だけど、どういっていいかわからなかったんです。
それで先日の地下鉄事故が起こって 久しぶりに実家に電話をかけて、思い切って ↑の気持ちまんまを母に伝えたんです。
多分こんな事、母に生まれて初めて言ったかもしれません。 しかもエグエグと号泣しながらは。
日本を離れずに、両親と一緒に暮らしていたら 一生言えなかったかもしれませんね。
すると母は、笑いながら 「なーに言ってんの。そのくらいの失敗がなんだい。 お母さんはあなたを誇りに思ってるんから」と一言。
さすが、東京荒川下町育ち。 母は偉大だ。(しかし肝っ玉は小さい)
なんだかね、後振り向けませんよ。 前行くしかないじゃないですか。 頑張るしかないじゃないですか。
すごいすごい長い時間をかけて 木村家は歩み寄っている気がします。
相変わらず母は肝っ玉は小さくて、父のこと愚痴るし 父は父で「一緒に行こう」って誘えないから そっとテーブルの上に「旅のしおり」(の行きたい場所) を開いて置いておくだけなんだけど(笑)
こんな家族だけど、帰るとホッとします。
PS:1 ちなみに両親はダンスパーティで知り合ったらしいです。 「魅惑の深海パーティ」?(笑)
PS:2 あゆみさん、見てる? あなたの言った通りでした。
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