カウントシープ
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2005年05月15日(日) 絵画考察3 一瞬の光景

目に見えるものを、ありのままに描くこと(厳密にはそのこと自体は不可能だ)。写真といえど、そこにあるものをそのまま写し取ることは不可能である。写真になると目の前の光景はよりコントラストをもって映し出され闇が深くなるのだ。
つまり、目の前の光景はその一瞬のみにあり、2度と同じものを見ることはできない。映像を使って再現してもそれはそれそのものではなく、同じ場所に立っている人間達も、その視力や立つ位置や注目する対象によって、光景は違って感じられていく。睡蓮を眺めたモネがその水に落ちていく光の様をどれだけの時間でも眺め続けたように、全ては変化して後に戻ることなどない―というのが、今未来へ向かう一方向の時間軸で生きている我々の世界だ。

フェルメールの「青いターバンの少女」という絵がある。異国風のターバンを揺らし振り向く少女の絵は、その青が美しい色だと賛美されている。だが、これを白人が見た時と、われわれ黄色人が見た時では色合いが違って見えると聞いたことがある。もちろん、青系の色に見えているには違いないだろうが、同じ人間でも違う風に見えるのならば、他の生き物にはもっと違う色に見えているかもしれない。


ロビン