カウントシープ
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2006年01月06日(金) |
ジェレミー・ブレッド |
去年の暮れから、シャーロック・ホームズの冒険を見ている。ようやくグラナダ放送の「シャーロックホームズの冒険/完全版DVD」を手に入れたのだ。
このシリーズ自体はずいぶん昔からNHKで吹き替え放送されていて、小学生からの自称シャーロキアンとしては、もう大変に夢中になって見ていたのだけれど、大人になってからはこれが初めてだった。
このDVD、数年前にも上下セットで発売されていたが、そのときは買うことを躊躇った。ホームズ役のジェレミーを見るのが、あまりに切なかったからだ。 ジェレミーは、まさにホームズに相応しい外見と演技をする、まるでホームズ自身のような役者で、彼自身この役で大当たりをひいた。世界中のシャーロキアンに賞賛され、まるで彼自身がホームズであるような錯覚を覚え・・・今でもそう感じてしまうくらい、彼のホームズは見事だった。
だが彼は、10年にもわたる撮影の中で、愛する妻を失いうつ病に係り、また心臓の重い病気にかかり、最後は撮影のさなかに心臓麻痺で亡くなった。確か59歳の早すぎる死は、ファンにも相当ショックであり、その悲しみから、このシリーズを手に取ることを躊躇っていたのだ。
特に悲しいのは、物語も広範になってくると、ジェレミーが弱ってきていることが解ることで、薬の副作用で肥満が進み、彼自身もそれを非常に気にしながらの撮影であったこと、激しい動きはできない体で役に望み続けたことなどを思うと、まだ見ていない後半に手をつけるのが怖くなるくらいだ。
ホームズ自身は、一度モリアーティ教授と滝に落ちて死んだが、熱烈なファンの切望によって、10年の歳月を経て復活し、その後はドイルが亡くなるまで活躍を続けた。だが、ジェレミーが死んでしまったことは、あたかもボクの中に、ホームズまで死んでしまったかのような錯覚を覚えて、
またそう思わせるくらい、ジェレミーはかけがえのない素晴らしい役者だったのだ。
ロビン
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