
道標|≪過去を見つめて|あさっての方向へ≫
子供の頃に繰り返し読んだ本は、鮮明に脳裏に焼きついて 簡単に払拭できない記憶になっている。
さて、我が家の兄弟三人のまぶたに今直強烈に 残っているのがこのハーメルンの笛吹き男だ。 言うまでも無く有名なこのドイツ民話。子供達が町から消える、 このミステリー感!大量のねずみ!我ら三兄弟は毎度毎度 わくわくしながらページを繰ったのだが、何と言ってもこの絵本の 目玉、重要人物ハーメルンがものすごくキショイ風貌なのだ。

私のつたない技術をもって、これが精一杯の再現絵。
あずき色のチューリップハット、ボーダーの怪しいカットソーに うさんくささMAXの吊半ズボンといういでだちに、 大きく腫れ垂れた鼻、うつろなくせに意志を持ったような 不気味な光りをたたえた瞳…!!ぶ厚い(しかも紫色)唇…!! 後日、数々のハーメルン民話に描かれた、芸人風のチャらい ハーメルン像を見ても、私の気持ちは高揚しなかった。 こいつだ。ハーメルンはこいつでないと!!
だが、この気持ちを理解してくれる人はいなかった。 「ハーメルンて、あのピエロみたいな」 「キラキラした衣装を着た」 「ハンサムな」
ハーメルンの話をするたび聴くイメージ。 ち…違うんだー!!と心の中で絶叫する。 この絵本を見た人でないと、あのキモさは共有できない。 苦悶していた(するなよ)大学の頃、仲良くなり始めた 友人に、何の気なしに「昔読んだハーメルンの絵本の絵が ものすごくキショくて」という話をすると、 「失業中のノッポさんみたいなやつ?」
( ゚д゚)
「こ…心の友よー!!」 激しく抱きあう二人。 今でも彼女は私の一番の親友です。ハーメルンの深める友情。 いやな友情だ。
姉とハーメルンの話になり、思い出したので書いた。 同士求む。
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