
道標|≪過去を見つめて|あさっての方向へ≫
自宅電話にハアハア電話が来たことはあったが、会社の電話で 受けたことはかつて経験したことがない。 とうとう本日恐怖のそれをとってしまった私。
「ハアハア、なんでアンタんとこの電話混線してるの?」
もうハアハアと息が漏れている時点で即刻受話器を叩き切るべきだった。 だが声の質が初老の男性であったこともあり、 一応仕事でもあるので用件を聞き出そうと話を続けようとする 健気な私。男は続ける。
「(※一応業務内容に関わるので省略)…担当の女出してくれ」
うちにはそれに該当する女性社員は居ないので、 「女性の担当ではなく男性でしたら…」と応えようとすると 「ぐへへ(※ホントにこう言った)、あんたいい声してるな」
「…はあ」
「じゃあ(※一応以下略)…担当の女ならいるだろ、お・ん・な!」
これも生憎いない。つーかうちの業務、それやってねーよ。
「お客様、本日はどのようなご用件でしたか?宜しければ お聞かせ願えませんか」と繰り返し問うと
「オレのおしっこが出ない」
「…」
ここは泌尿器科と一切関係無いんですが。 男は熱く「自分は排尿ができないがところでアンタはいい声を しているから名前を聞かせろオレは○○○と繋がっていてアレで ナニでソレをあの日あの時あの場所で」と延々と続ける。 ハアハアも最高潮に達していたので無理やり上司に代わってもらったが、 クソ使えない上司は電話操作を誤り、会話は呆気なく終了した。
死 ね ! 死 ね ! 死 ね ! 姿の見えぬじじいに延々しゃべって40分。 私の呪いよ届け君の心に!!
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