
道標|≪過去を見つめて|あさっての方向へ≫
2006年02月27日(月) |
じいちゃん、あまえる |

祖父が、自宅近くにある、いわゆるケアハウスに引っ越したのは 去年の秋口だったかと思う。祖母も一緒だ。
ケアハウスは老人ホームというよりも お食事つきのお年寄り専用高級マンションみたいなもので、 祖父母とも今までと変わらない生活を楽しんでいるようだ。
京都のお土産を持っていくと、日ごろ寝たり菓子を食ってばかりいる 祖父が、「オレを起こせ」とベッドからソファまで私に 誘導させる。「お茶を淹れろ」だの、「飴が無い」だの 普段しきることなんかしないくせに、色々私に言いつけては 満足そうにしている。
私はじいちゃんっ子なのでよくわかる。 祖父は私にあまえているのだ。
握り返してきた手の力が思いのほか強くて、私も力をこめた。
日が暮れてきた。
子供の頃のように、祖父の手に頬を押し付けて、二人で 夕日を眺めていた。
|