xxxxxx 表面張力(仮)

虚実入り乱れても記録
20010802--



2003年07月04日(金)

同じ匂いのする傷モノ同士の関係性は恋愛には発展しにくい

 一人の男友達がいる。
 友達、という関係では厳密にはない。大学時代のサークルの後輩で、やはりどちらかというと先輩後輩の関係なのだろうとは思う。けれど、彼に寄せる信頼はその関係ではない。友達でもないのだけれど、特にあう言葉がない。
 その彼は、夫と高校時代からの友達で(当時は知り合いレベルだったのか?)。大学でのサークルも同じで。
 大学当時は夫よりその彼との方が仲が良かった。


 確か講義が終わった後の暇な、歓談ホールでの時の話。
 彼の生活の中でおそらく、今でもその話を話したのはワタシ一人だろう。そのときからワタシは絶大な信頼を彼に。具体的な事柄で頼りになるとかそういうことではなく、本当に心から、心だけの信頼を。

 それは同類項で括弧で括れる同士だから。

 ワタシの事情は酔っぱらったときに話したような記憶がある。話した、というレベルでもない話し方で、伝わっているのかも確認していないけれど。
 ただワタシの方は基本的に人にはぺらぺら話す方で、それはその事情の「事実」よりもその事情で明らかになったワタシの腐った内側の方がワタシにとって大きな問題だったからだ(と思う)。ワタシは事実は話せても、その時のワタシの内側は話せない。多分、誰にも。
 閑話休題。
 だから、抱え方は微妙に大きく異なるのだけれど、そして彼としてはワタシと同類項などごめんこうむるお話かもしれないけれど、それでもワタシは勝手に彼に信頼をよせる。

 彼は決してワタシを傷つけない。最大級の傷をつけられるコトを、彼はしない。
 ワタシはただ彼の傷口に触れないように、できたら癒える方向性で、ぺたんこの靴を履いていた。比喩として、そして現実でも。

 こういう関係だから、ワタシと彼とでは恋愛になど発展しなかった。一時期、どうしてもワタシがぐらぐらしていたときに血迷って提案してみたこともあったけれど、彼は賢明な判断をした。
 同じ匂いのする傷モノ同士の関係性は、恋愛には発展しにくい。
 絶大な信頼があっても、無理。恋愛とは大きく違う。なりえない。

 少なくともワタシと彼とでは無理だった。ワタシのことだけを言えば、ワタシが無理だった。彼に求めるモノが恋愛と質が違う。
 そしておそらく彼の方も。彼は決して踏み越えてこなかった。


 彼の事情の後日談は一回だけ数年前に聞いた。それ以後は知らない。
 なかなか会わないし、会ってもそんな話をすることなんて、殆どない。訊こうとも思わない。
 ただずっと、彼にも大事な人があらわれないかなあと祈るだけだ。同じ匂いの人間でなく、でも心から信頼できる人が。傷なんて裂けたって、それでも一緒にいられる人が。



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