xxxxxx 表面張力(仮)

虚実入り乱れても記録
20010802--



2003年07月30日(水)

激流の記憶

 年内に奴が帰国することを知って数日、やっと落ち着いてきた。

 それを知ったのも某経緯で人にあまり話せず、当然ながら本人に確認のメールなどできるはずもなく。とにかくひたすら鎮静化。ときどき空気から立ち上がるような記憶にくらくらしつつ、それでも会うことなく過ぎた時間の長さがワタシを落ち着かせる。

 関係のあった期間よりも長く会っていなかった。
 それなのにこの影響力。知った直後は本当にぐらぐらした。動揺した自分に気づいて更に動揺。まだ動揺する、という事実に素直に驚いた。
 そして「こんなに早く帰ってくるなら」と一瞬でも考えてしまった自分の愚かさに更に驚いた。よい結果などあるはずもないことなど一番よく理解しているのにと笑うこともできずに真面目な顔で思う。それに、こう考えるのはもはや反射の域だということも理解している。


 当時、このまま近くにいたらこの関係をずっと続けるだろうことは予測していた。二人とも弱くて寂しがり。毎日毎日顔を合わせる。なかなか奴の「一番の相手」とやらは現れない。関係を続ける条件は揃っていたのだろう。
 終わることができたのは、奴が海外へ行ったからだ。なかなか会えない寂しさと不安が、もともと不安定なワタシを落とし、環境が不安定な奴を別の女性へ向かわせた。奴がその女性と最終的にどうなったのかは知らないけれど、ワタシにとってはその存在だけで十分だった。それでワタシの「傍にいる」という存在価値はなくなったのだから。

 一緒にいた頃だって、より理想に近い女性が現れれば奴がそちらに向かうだろうことはよく理解していた。それは当然のことだろうけれど、私達の関係性はそんなことは容易く行われるようなモノだった。風が吹けば吹き飛ばされそうな、約束なんてどこにもない。
 縛るモノは何もなかった。縛られたくても、そんなことはあり得なかった。奴がワタシのことを好きでいてくれたことはよく知っていたけれど、奴はワタシと約束をするまでには踏み出してこなかった。
 それは臆病と言うより、やはりそこまでの感情はなかったのだろう。

 奴は自分に相手が出来て安全な立場になってから、約束の言葉を言った。もうワタシが傍にいることはないから、過去にとっての約束の言葉を、もう遅い縛る言葉を。
 自分がもうその約束をしなくてすむから。
 多分、どこか馬鹿な人だからそんな自分には無自覚で、ワタシのことを思って、過去の関係にセンチメンタルになって言ったのだろうけれど。
 ふざけるなと、それを受話器のこちら側で全否定。その甘さだけは許さなかった。
 それまでの関係を覆い隠すようなソレを、許せるはずもなかった。



 懐かしい遠い光景。しかし遠いけれど今でも感情の輪郭は明瞭で。
 あの弱さも少し卑怯なところも不器用なところも自分自身に振り回されすぎるところも全て大事に想っているし、許せない部分も含めてそれでもシアワセを望んでいる。ワタシはそのシアワセに関与できないし、しないだけだ。
 動揺はする。動揺はするけれど、それはもう仕方ない。
 あの頃の激流のようなモノではないけれど、今はたゆたゆと満ち満ちているモノがある。ワタシはそこに浮かんでいる。時折、昔の流れを思い出すだけ。



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