| 2001年10月05日(金) |
佐伯泰英「橘花の仇(鎌倉河岸捕物控)」を読み始める。 |
佐伯泰英「橘花の仇(鎌倉河岸捕物控)」を読み始める。 始まりの時は安永八年つまり1779年の10月と明記される。思いがけない事件のせいで逐電する婚約者の男女。そして時は18年後に進む。寛政九年、1797年の江戸は鎌倉河岸に場所も変わる。しほという名の16歳の娘が働く酒屋が場面に登場する。やがて、しほの父親が死んだという知らせが入って、この市井の物語が動きだしてゆく。全六話からなる連作長編で、今日は最初の序章と次の第1話「仇討ち」を読んだ。他のシリーズのような強い侍が主人公ではない。NHKが好みそうな市井の人情もので、ちょっと泣かせる趣向が毎回ありそうである。総兵衛、影二郎、惣三郎といった剣豪が出ていないのであまり期待せず読み始めたが、惣三郎のいない「密命」の登場人物たちの物語風で、そこにいる人々の会話だけでも十分楽しめる感じである。 このシリーズもまたまた面白い。毎月1冊出しているのに、手抜きが感じられない。小説にすべてを賭けているにちがいない。佐伯泰英さんは凄い。 中村真一郎のエッセイか村上龍のサッカーエッセイを読もうかと考えていた。今日はわりとすんなり時代小説の世界に入ってゆくことができた。
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