| 2001年10月13日(土) |
木枯し紋次郎と宮本武蔵を読んでいる。 |
木枯し紋次郎と宮本武蔵を読んでいる。 佐伯泰英氏の時代劇を絶賛しているうちに、これ以上の作品を書いている作者は本当に他にはいないのだろうかと疑問を持った。ただし、この問は現在、つまり今の時点で、である。佐伯泰英氏が時代劇を発表した1999年前後から2001年の今まで、ということである。過去を顧みたらきりがないのは少し知っているので、バリバリの現役作家を対象に考えている。 とはいっても、実際にちょっと読んでみたのは、笹沢佐保の「帰ってきた木枯し紋次郎」(新潮社文庫)だから、考えていることと違うことをしているわけである。最初の「生きている幽霊」を読んでの感想は「文句なし」である。一つの世界が見事に描かれている。老いを感じてきた紋次郎の悲哀は、惣三郎の老いの描写に通じるような気がする。しかしバリバリの現役作家の、というよりも、ベテランの名匠による標準作、安定作であった。 次に、光瀬龍の「秘伝・宮本武蔵」(徳間書店文庫)を読み始め、とうとう267ページまで来た。1976年に単行本でまず発行された作品である。一応この作者のファンだったのに気になったまま読まずに今日まで過ぎたわけである。いや、もしかしたら一度読んでいるのに忘れているだけなのかもしれないが。 開いて小さい活字にまずひるんだが、読み出すと知名度の高い人物が宮本武蔵の周りに続出、剣戟場面も鮮やかで100ページすぎまでなめらかな展開である。そこに歴史的説明が挿入され、暫く遅滞するが、あらためて時間が少し過去にもどったところから再び、今度は佐々木小次郎を軸に話が進んでゆく。 故・光瀬龍の最高峰に立つ作品であるにちがいない。見事なストーリー・テリングを持つ歴史学者が書いた時代活劇の傑作である。 この文庫本は昨日ブックマーケットで見つけたものである。 現役作家バリバリの一人に鳥羽亮という作家がいると聞いた。いま、探しているところである。
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