| 2001年12月31日(月) |
柴田よしき「紫のアリス」(文春文庫2000.11.10)を読んだ。中井じゅん「母娘練習曲」(ハルキ文庫2001.1.18)を34ページまで。 |
柴田よしき「紫のアリス」(文春文庫2000.11.10)を読んだ。題名の通り「不思議の国のアリス」のアリスのように主人公が不思議な事態に巻き込まれ、殺されそうにさえなる。そして、その主人公は中学生時代の学校祭でアリスを演じていた。 ルイス・キャロルの創造した「アリス」の世界のイメージが過去と現在の事件をつないで主人公を追い詰めていく。優しくしてくれる親切な人々と知り合いになりそのおかげで事態が好転するかと思いきや彼女は時間の渦に閉じ込められたかのごとく最悪の方向へ導かれる。 最後の一ページまで少しも気の抜けないサイコ・サスペンス的ミステリーである。一気に読めたが物凄く面白いというには微妙な結末である。「保留」としておこう。読む前に明るく軽快なミステリーと勝手に思い込んだせいもある。 よく考えてみるとこの作者は一筋縄ではいかない小説家だったのだ。こちらの期待するような安易な物語を作るわけがなかった。 とりあえず勝手ながら、準・佳作としておこう。 中井じゅん「母娘練習曲」(ハルキ文庫2001.1.18)を34ページまで。「紫のアリス」よりも読み出したらやめられなくなる「エビセン」本である。そう感じて早々に読むのをやめた。「ちゅらさん」本と名付けても良い。はまったら大変だ。そんな達者な感じの面白くないわけがない本と見た。 「似ている!」である。
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