読書日記

2002年01月09日(水) 佐野眞一「宮本常一が見た日本」(NHK出版)のプロローグ4ページを読んだ。「だれも知らない小さな国」。佐藤暁

佐野眞一「宮本常一が見た日本」(NHK出版)のプロローグ4ページを読んだ。この著者はまずプロローグやあとがきがすごくうまい。的確な表現と的確なまとめですっと舞台の幕を開いて導いてくれる。今回の「宮本常一が見た日本」のプロローグもすばらしい。是非とも読んでみたい、宮本常一のことを知りたい、そんな気をいざなう。先に読んだ「渋沢家三代」は教科書的なまとめで読みづらい面があった。この最新の著作ではもっとなまなましく臨場感のある表現を期待している。
日本のファンタジーの傑作といえばまず「だれも知らない小さな国」。佐藤暁が1959年に自費出版した、後にコロボックル・シリーズとしてアニメにもなった名作である。それから43年も過ぎている。今、「ハリー・ポッター」のおかげである意味ファンタジー・ブームにあるわけだから、このチャーミングかつぴりりと辛い物語も読まれてもいいのではないだろうか。
「二十年近い前のことだから、もうむかしといってもいいかもしれない。ぼくはまだ小学校の三年生だった。」
 これが冒頭の文章である。宮崎駿のトトロが出てきてもよさそうな時代の日本の話なのである。魔法は一切出て来ない。この作品の出現が魔法そのものだ、と言ったのは誰だったか。
 今は、新刊ばかりが読まれる時代(であるような気がするし、自分もそうだ)。かつての新刊や一見消えて失われてしまった本を探し出して読むこともなんぼかの割合で必要なのではあるまいか、と考える今日この頃。(終り)


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