| 2002年04月10日(水) |
永井龍男「私の眼」「快晴」(新潮文庫「青梅雨」1969/05/15発行2002/06/20改版所収)を読む。 |
永井龍男「私の眼」「快晴」(新潮文庫「青梅雨」1969/05/15発行2002/06/20改版所収)を読む。 「私の眼」は、ほとんど関わりのない通夜に真顔でやって来た男がある種の狂人だったという話。語り手がこの男であるところが怖い。始めはただの一人称の話と思って語り手の調子に合わせていると徐々に異次元の世界に引きずり込まれていくのだ。 SFやホラーを読むつもりでいればまた別の興趣も湧くがこれは不意打ちである。 奇妙な味わいを持つ作品。 「快晴」は、「私の眼」の続編で、こちらは三人称。告別式から骨上げまでの様子を描いている。世話係の者たちに通夜に現れた狂人の噂話をさせることで「私の眼」という話の解説としている。 十四、五人の中にたった一人だけ狂人が混じっている。ありえない事ではない怖さである。 最も怖いのは、けだるそうに寝そべっている赤犬の脇から男がゆっくり立ち上がる場面だった。 日本のモダン・ホラーといっても全然おかしくないできである。 「付け足し」 「青梅雨」の「太田と」なのか「太田さんと」なのかについて。 その後、小学館の「昭和日本文学全集」に当たってみた。なんと、こちらは「太田と」であった。新潮文庫が間違いとは言えなくなった。 定本はないのか。二種類あることになってしまう。
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