2003年01月10日(金) |
内田樹『「おじさん」的思考』(晶文社) |
内田樹『「おじさん」的思考』(晶文社 2002年4月10日初版 6月20日5刷 1900円 260P) 世間の目を気にして言い難いことがいっぱいある世の中にそれとなく現れたある意味奇矯な救世主がこの筆者である。論理に説得力があるので文句なし。ホームランというよりは2塁打を連打して溜飲を下げる、実に軽妙でありながら渋い書き手と思われる。一種の放言が研究者的理論に裏打ちされているのか的確かつ強烈。文章にもこの著者の人柄が滲み出ていて忘れがたいものがある。 大学におけるセクハラを話題にした「教育とエロス」と巻末約70ページに及ぶ夏目漱石とその作品を扱った文章が印象的だった。 もうすでに結構な評判を呼んでいる本らしい。確かに昨年を代表する本の一冊と言ってもよいと思った。
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