読書日記

2003年02月03日(月) 津野海太郎『歩くひとりもの』(ちくま文庫 )

津野海太郎『歩くひとりもの』(ちくま文庫 1998年3月24日第1刷発行254p)
いわゆる親本は1993年4月、思想の科学社より刊行された。
独身男を話題にした軽いエッセイ集かと思いきや随分な重みがありました。
「自分用の応援歌」「ひとりもの、年を越す」「コーヒーを入れる老人」「妹の力」「家庭の終わり」「男たちが知らない本」「料理書の哲学」といった題名から内容がある程度推測できる前半七編の後に著者のとんでもない実体験談「なかじきり1 わが愚行」が入り、以下次のように続いていく。
「死体術」「手紙ぎらい」「咳をしてもひとり」「なぜ結婚しないの?」「ニベもない」「自分を変える法」「不意打ち」「他人の家庭」「なかじきり2 ブレヒトと女たちー佐伯隆幸氏との対話」「神は細部に・・・」「歩きながらの読書」「赤いギンガムチェック」「異装について」「おだやかな根拠地」「本を破る」「再編集のたのしみ」「目次癖」「なかじきり3 歩く男の死」「三十歳」「四十歳」「幸福小説のつくり方」「スタイルに凝る」「歩く老人1」「歩く老人2」「散髪の日」「あとがき」「鼎談 人生はなにが起こるかわからない(津野海太郎・山口文憲・関川夏央」「文庫本あとがき」
三編のなかじきりが読みごたえがあった。特に三つ目のあの長谷川四郎のことを書いた「歩く男の死」が重厚でのんびりとしていた頭がショックを受けた。昨年『父・長谷川四郎の謎』(草思社)にも引用されていた長谷川四郎の文章の同じ部分が紹介されていたことにも驚いた。
カバーデザインが南伸坊描くところの旧式のロボットなので軽く見たが、印象が大きく変わった本でした。



 


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