読書日記

2003年02月11日(火) 津野海太郎『本が揺れた!1997ー2001』(大日本印刷株式会社ICC本部)

津野海太郎『本が揺れた!1997ー2001』(大日本印刷株式会社ICC本部1900円2002年3月29日初版p265)
現在、本や出版のことを語らせたら右に出る者がいない津野さんの5年間の記録。時評集ということだけでなく近しい人たちとの対談記録も載っていて大変楽しみな一冊だった。
地味な本なので佐野眞一さんの本の売れ行きと比べるとはるかに低迷していると思うが、出版界や読書界(?)を支えているのはこの本の方である。

ちょっと印象に残った部分の抜粋。
「この本を備えていない図書館は即反省し、最低二冊は購入すべし、と言いたい。
古書価の上がったマイナーな作家の本なんかでも、出版社が過去の財産を活かしてそれよりも安くつくれれば、五百部単位でも復刻できます。たとえば葛西善蔵あたりでも、いま、千五百円の文庫で買う人が三千人くらいいるんですよ。まだまだそういう市場があるんです。」(p157、松田哲夫、筑摩書房専務取締役)

絶対読みたくなる、ミーハーのこころを誘うタイトルの抜粋。
「森銑三は電子本を拒否したか」(p43)
1938年生まれの著者、津野さんは理想的なエッセイストである。


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