長女Iをばたばたと風呂に入れるときは、 自分の身体を洗ったりはできないけど、一緒に裸になって浴槽につかる。 「気持ちいいねえ」と語りかけて、たった一分だけあったまる。
私が気持ちよさげに微笑んでいたらしい。 Iが嬉しそうににっこりした。
一年ぶりに足跡を残す。
あれよあれよという間に ただの読書好きの女の子、だった私は 着々と歳を重ね、 お話を書きためる日々からは遠く隔たり、 恋をして、妻となり土地を変え、 そうして、こんどは「母」となったわけで。
まだこの世に生れ落ちてひと月と少しの命と 肌で触れ合いながら、翻弄されながら、 新しい生き方で生きてゆく。
のだとおもう。
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