川底を流れる小石のように。  〜番外編〜  海老蔵への道!
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2004年05月26日(水) 五月大歌舞伎 千秋楽 夜の部

 ああ、もうこれで本当に今月も千秋楽なのだと思うと、
 胸がいっぱいだ。
 とっても美しい夕焼けを見たときの、けだるくさびしいような、
 でもホッとするような、そんな気持ち。

 口上のにらみは、まるで錦絵のようで、
 かっきりと脳裏に焼き付いて離れない。
 
 海老蔵なんて言い慣れないし、当分は呼び間違えてしまうんじゃないか?と思っていたけれど、
 もう、新ちゃんと皆が呼んでいた新之助はどこにもいないんだなと感じた。
 目の前で、ひとまわり大きく大人になって、凄い勢いでにらんでいるこの役者は、
 もうどこから見ても海老蔵だ。
 私も、もう言い間違えることはなさそうだ。
 寂しいような嬉しいような。

 雀右衛門さんのHPで、今月は入院していらっしゃり、
 毎日病院から舞台に通っていたという事を知り、随分心配していたのだけれど、
 今日はしっかりとした口調で口上を仕切っておられて、嬉しかった。
 

 勧進帳。
 弁慶の表情の1つ1つ、富樫の目線の1つ1つ、見ていると、
 つい先日幕をあけたばかりだというのに、
 色々なことがあったし、
 あの晴れがましかった初日が、とても遠い昔の事のような気がする。
 それでも毎日、幕はきちんと開き、盛況のままここまできた。
 長い襲名興行日程の初めの一月でしかないのだけれど、
 一区切りではあるだろう。
 誰よりも張り切って、誰よりも大きかった強い弁慶がお休みすることになってしまって、
 本当に皆さんご苦労様でしたと思う。

 魚屋宗五郎。
 今日のこの幕が、私はとってもよかった。
 三津五郎さんの宗五郎は、よい感じに力みがなくなっていたし、
 まわりがとても充実していた。
 
 11日に観たときに、おなぎの菊ちゃんが違った。
 きっと楽屋で、さっきの三津五郎さんの代役弁慶と、海老蔵の踏ん張りぶりをみて、
 菊ちゃん触発されたんじゃないかな、と母と話していた。
 その熱演ぶりは維持したまま、おなぎもしっとりと落ち着いて、
 菊ちゃんの流す涙が、本当にはかなく悲しげで、ぐっときた。

 さらに、城に酔って暴れ込む宗五郎を追いかけて行ったおはまの芝雀さんが、
 うつむいたままポロポロと涙を流している横顔を見て、
 そうか、と思った。
 この当時、身分の低い庶民は、本当にとても弱かったのだろう。
 生きていくのがやっとの暮らし。
 ましてや、おなぎもおはまも女性だ。
 さぞ弱い立場だったのだろう。
 「オヤジも笑い、こいつ(おはま)も笑う」暮らしを得られたのは殿のおかげ。
 ここの宗五郎の台詞が好きだ。
 それを受けて、許せと頭を下げる海老蔵の殿も、
 情の深い殿様に思えた。
 こういう時代だったんだなあーとしみじみ。
 上手く言えないけれど、ようやくこのお話が、そうか・・・と思えた。
 けんごで暮らせよ〜の殿の声に、チョンと柝が入り幕が引かれる。
 その一瞬、海老蔵がほっと息を吐いたのを見て、
 本当にお疲れさま・・・と思った。


 ○○追記○○
 もう自分でも、どうしちゃったんだろうというくらい、
 来る日も来る日も、東銀座方面へ気持ちがとんでいた一月。
 ほっとする間もなく、六月は助六じゃあありませんか!
 私は、本当にこの演目が大好きで、
 歌舞伎を知って、真っ先に一番みたいと思ったのが助六。
 ビデオでは新之助の助六と、団パパの助六を何度も何度も見ましたが、
 実際の舞台ははじめて。
 ようやく念願が叶います。

 いつかは、あの時はねえ〜と我ながら苦笑してしまう日がくるのかもしれませんが、
 今は自分でも止められない勢いで、六月の事を考えちゃっています。
 ほんとすみません。
 


2004年05月25日(火) 五月大歌舞伎 千秋楽 昼の部

 とうとう千秋楽。
 昼の部は最後のお楽しみの前から二列目!
 思いがけずお友達が譲ってくれた席で観劇。
 わくわくだー。

 ロビーでふと見ると、スラリと背の高いスタイルの良い女性が。
 あ、米倉さんだ。
 びっくりはしたけれど、
 なるほど初日は夜の部、楽は昼の部か、と、そのチョイスに納得。
 気が付いた人たちは、わーとかきゃーとか、あらま!とか、そんな反応。
 トチリのあたりのセンターの席のご様子。

 三番草から、興奮してる。
 なんといっても前〜の方の席というのは、
 あらゆるものがクッキリ鮮烈に視界や気持ちに飛び込んでくる気がする。
 梅玉さん、三番草、紅葉狩り、伊勢音頭と出ずっぱりだというのに、
 涼やかな穏やかな表情で踊っていて、感謝の気持ちでいっぱいになる。

 いよいよ暫!
 権五郎がツラネを力強く言い終えると、
 突然、左団次さんが「お〜いお茶!」と大声で声をかけた。
 すると、お馴染みの茶後見の段四郎さんが、
 おーいお茶のペットボトルをうやうやしく捧げ持ち、花道を登場。
 楽のお遊び、今日はこれかーと笑ってしまう。
 客席も大喜び。
 (余談ですが、伊藤園すごいっすねー。
  祝い幕や貸し切りはもちろん、
  「おーいお茶 濃い味」のCMも流れはじめ、
  電車の車両中、海老蔵伊藤園のポスターの車両が走り、
  街角でも、よく見かけます。いつも立ち止まりそうになる。)
 
 この日、私は鎌倉権五郎に惚れ直した。
 本舞台の権五郎をこうして間近で見ると、
 りゅうとして姿勢が良く、大きく力強くて、ぱあーっとオーラを発してる。
 初日を観た友達が、ヨチヨチしてたよ・・・と心配していたけれど、
 もうそんなことはなく、
 衣装の大きさや、突飛さに全然負けない、
 全てが一体化した権五郎像になっていた。
 
 むかーしむかし、こんな風にでっかくて明るくて大らかで立派で、
 頑とした正義の味方で、ちょっと子供っぽい
 やけに強いこんな大男が、いればなあー、いてほしいなーというような、
 そんな気持ちになる。
 頼りがいのある力強いものに守られてるような安心感。
 輝いて眩しいくらいだ。
 
 荒削りだとしても、こうして役を生き生きと息づかせるような、
 何か不思議な力を持った人だなあと思う。

 紅葉狩。
 さすがにこの席では眠くならず、しっかり鑑賞。
 菊五郎さん、所作に不思議な存在感や空気をまとった人だなあと思う。
 うまく言えないが、観客をたちまち江戸前ワールドに引きこむような空気だ。
 江戸の荒くれ男から、お姫様、鬼まで、あらゆる役が出来るなんてすごい。
 目の前で見ると、扇をクルクルち自在に操り踊る様は、
 説得力がある。
 来月の海老蔵の鏡獅子の踊りのこと、ちらと考えてしまった。

 伊勢音頭。
 先日の夜の部で、情の深いおはま役を見てから、
 芝雀さんが気になりだした。
 おはまは、本当に地味なつくりだったけれど、
 三番草ではきれいだったし、
 この伊勢音頭では、色っぽいお岸役。
 月初めにアップされたこれを読んだとき、シロウトながらふーむと思うところがあった。
 伊勢音頭をよく知らずに2日に観た時、
 お岸がきれいで、今にも何かしら貢とお紺カップルの間に入って、
 事件が起きるのか?と思ってしまった私。
 それが今日は、全然そういう感じはなくて、
 某CMじゃないが、開いてるお岸と閉じてるお岸みたいな、
 体を殺すって、こういうことなのかな?と思った。
 
 仲居の万野役の芝翫さんは、あの声と開き直った台詞、あの策略ぶり、
 忘れられそうにない。
 この役、色々な人がやっているようで、
 例えば玉三郎さん、菊五郎さん、古くは歌右衛門さん、どんな万野だったのだろう。
 興味深い。
 ここで万野にはめられた貢が、何度も「様々なことを言うおなごじゃ」と困り果てて言うのだけど、
 この台詞も、今月の私のワード記録に残った。
 (他には、おっとよしよし)
 仕事でゴタゴタややこしいことになったりすると、
 心の中で「様々なことを言うおなごじゃー」と貢チックに困ってみたり。
 あはは。
 そうしてやっぱり喜助にわおー!と思ってしまったこの幕。
 いやはや。

 昼の部は、こんなに観られるとは思っていなかった。
 渡辺保さんの講演会でテンションが上がって買い足したのと、
 伊藤園とシアターガイドのおかげ。
 ありがてー。


 ○○追記○○

 ハイビジョンで放送された海老蔵特番、友達に借りてみることが出来ました。
 中でも鳥屋の揚げ幕の陰から、暫の海老蔵を見守る団十郎さんが印象的。
 どうか、はやくよくなりますように。

 夜の部はなんとか今月中に書きたいです。
 もう6月の初日は目の前!


2004年05月23日(日) 鳥屋の音。

 「シアターガイド」のサイトリニューアル記念チケットプレゼントで、昼の部一等席が当たった!
 やったー!と大喜びしたものの、平日のチケットではある。
 出来れば仕事は休みたくない・・・。
 とはいえ、このチケットは後ろの方の席ではあったが、花道のそば。
 そして揚げ幕が近い。
 でっかい権五郎がノシノシ歩く所を、間近で見られる!と思うと辛抱たまらず、
 連休前のバタバタ運行のどさくさに紛れてお休みをもらう。
 やったー。
 
 昼の部は三階からばかり観ていたので、初めて地上に降りられるヨロコビ。
 
 この日は、あんず大福捕獲作戦決行を心に誓い、
 歌舞伎座に着くなり脇目もふらず二階へ。
 朝っぱらから甘い物の事を考えるのは不似合いな気がするが、仕方ない。
 するといつものポジションに、ちゃんとありましたとも!
 薄いあんず色した可愛い奴ら!
 声をかけようとすると、横からオジイの声で「あんず1つ!」。
 見ると歌舞伎座にはよくいるタイプの、お年の割に元気でかくしゃくとしたオジイだ。
 「む、できるな」と横目で牽制しつつ、
 私も「あんずふたつ!」。
 オジイと私は、共にあんず大福を手にして、ニヤリと笑みを交わした。
 
 お宝あんず(あくまでも私の中ではお宝)を手にして、
 すでに一仕事終えた感の強い私は、満足して席に着く。

 三番草は、舞台を清め、成功を祈る意味も含まれた踊りだそうで、
 なるほど祈りにも、能にも通じるような趣。

 いよいよ暫だ!
 うわー!ここを権五郎が通るのかーと何度も花道を見てしまう。
 権五郎が出てくるまでに、ちょっと長いのだけれど、
 その間にも、鳥屋からはバタン、ゴトン、ゴソゴソゴソと
 結構いろんな音が聞こえる。
 もしかして、あの音、権五郎が狭いところでドタバタしてる音なのだろうか?と思うと、
 微笑ましい。
 背中から「しーばーらーくう〜〜〜」の声を聞くと、
 赤っ面じゃないが、ゾクゾクする。
 けども、ズカズカっと進む姿もでっかくて、あっという間に私の横を通りすぎる権五郎。
 距離感を失う程の大きさだ。
 幕外の引っ込みで、ヤットコトッチャーウントコナー!と声を張り上げる海老蔵。
 西の桟敷にいた、かわいらしいおばさま、それを目の前で見て、
 うるうる感無量の様子。
 うんうん。海老蔵権五郎、よかったよねーと思う。

 この後、さらにこの花道を、山神の菊ちゃんや、万野の芝勘さんも、
 そして喜助の海老蔵も、駆けてった。
 あっという間。
 
 そして「おっとヨシヨシ!」が口癖になってしまって、
 仕事中とかに、おっとヨシヨシと言ってしまいそうになる。
 
 隣の小さなおばあちゃんが、ずいぶんと長い傘を邪魔そうにもてあましていたので、
 よかったら、こちらの足許にどうぞ、と声をかけると、
 一階席はね、足許を色んなものが通るのよ。
 だから一階だけは、何か匂うでしょ?
 あなたも嫌じゃないの?
 何しろ鼠や猫や、他にも色んな生き物がウロウロ通るのよ。
 嫌ね〜。だから傘も置きたくないの。
 気をつけなくちゃね。あなたもね。
 と言われてしまった・・・。
 古い建物だし、ゴキや、もしかするとネズミくらいはいるのかもしれないが、
 猫とか、他の色んな生き物ってのは何だろう。
 ばあちゃん、何を見たんだ?

 他にも紅葉狩がはじまると、
 反対の隣のおじさん(たぶん歌舞伎座初体験、奥さんに何度もつねって起こされてた)が、
 腰元をやっている亀蔵さんを見るなり、一人しょうもないのがいるぞ、と言い出す。
 いくらなんでも、あれはひどい。
 うーん。なんなんだあれは、としつこく唸ってる。
 それだけ衝撃的なルックスだったのかも。
 っていうか、あの人は普段は立役で、
 さっきも暫で、赤い顔してヤットコトッチャって言ってたじゃん。
 それが腰元だから、おもしろいんじゃん。とかばいたくなる。
 っていうか、他は寝てたくせに、おじさんのツボはそこなのか・・・。

 
 ともあれ、昨夜の当日券二列目と、今日の花道横で、完全燃焼できた気がする。
 満足。
 翌日からは、普段通り仕事なわけだが、
 休みをもらったのだから、頑張らねば!と思う。
 それにしても、今までも、こうして雇ってもらって仕事して、
 働けるってありがたいことだなあと頭では思っていても、
 それを心の底から、体中で実感出来た。
 (旧川底をご存じの方は、かつて私がしばらくプーで、
  うつうつと過ごしていたことをご存じかと思いますが)
 先の休日があんまりにも嬉しくて幸せで満足で、
 そんなことが出来る今の環境や、周りの全てに感謝してしまう。
 むくむくと仕事に意欲が湧いてくる。
 目一杯働いて、その分目一杯遊ぶ、そしてすこぶる満足という黄金のステップ!
 おおー!
 
 

 


2004年05月22日(土) おそるべし当日券・・・。

 平日昼の部を三階席で観る予定。
 夜の部の勧進帳、千秋楽の前にもう一度だけみたいものよのう〜と思っていたので、
 だったら早起きして当日券に並んでみるか!と前の晩に、ふと思い立つ。
 とはいえ始発に近いような時間に並んで、10時にチケット発売。
 昼を三階で観て、それから当日券で夜の部鑑賞となると、相当キツイ。
 一度は五時くらいに起きてみたが、とうてい布団から出られず。
 もう一度ベッドにもぐり込む。

 結局、昼の部ギリギリに到着。
 「暫」、伊藤園の昼の部の時もちょっと思ったのだが、声は大丈夫なんだろうか?
 75%くらいの声をギリギリにだしてるような、
 少しざらついてるような気がする。
 権五郎が本舞台に来てからが特に。

 海老蔵は頑張って元気そうにしていたが、
 料理人喜助役の時、はだけた胸元からのぞいた肌が、
 蕁麻疹かなにか、赤くボツボツと痒そうにあれていた。
 疲れてるんだろうな。
 
 夜の部の幕見は早い時間から行列していることだろう。
 なので昼の部のラスト15分を切り上げて、外に出る。
 ミーハーな私にとっては、これは相当に勇気のいることだ。
 喜助のふんどしをあきらめ、夜の富樫に会おうという、究極の選択。

 外はすでに夜の部の人で凄い混雑。
 幕見の最後部に並ぶも、定員を超えておりますので入場できないかもしれませんとのこと。
 雨まで降り出し、とほほな気持ち。

 ほどなく昼の部が終わり、さらに混雑が増す。
 ちょっと嫌だなと思ったのは、
 この混雑の中、歌舞伎チャンネルのスタッフが歩きたばこで通り過ぎたこと。
 今にも誰かに火傷させそうな混雑だったのに。
 普段お世話になってる歌舞伎チャンネルではあるが、これはいけない。
 むむうう。。
 ようやくジワジワ列が進みだす。
 雨降りのせいか、幕見の行列がゆっくり進む間を、
 雨を避けつつ強引に突き抜けてゆこうとするチケットを持った老人多数。
 頼むから無茶せんでくれ。
 あと一息!と思っていると、
 「申し訳ありません!ここまでで定員いっぱいです」と
 私の少し前で区切られてしまった。
 がっくり。

 これで一幕目の白石噺とニラミの口上は見られないわけだが、
 このまま二時間ちょっと並べば勧進帳は立ち見でみられるらしい。
 
 座席数90、立見数60、合計150名の定員だが、
 その殆どが次の幕「勧進帳」まで券を買っているとのこと。
 30名くらいが口上が終わると出てくるかも?と係りの人は言っていたけれど、
 一度中へ入ってしまったら、居続けも可能なのが幕見のシステム。
 人数は読めないだろう。
 どのみち入れても立ち見は必須。
 でも覚悟は決まっているので、ともかく大人しくさらに行列。
 歌舞伎座の番頭さんがベンチを出してくれたので、座って待てる。
 ありがたや。
 しても、こうして窓口のそばで小一時間過ごしていると、
 どうにもこうにも勝手な質問や言い分をもって係りにつめよる人のあまりにも多いこと。
 その都度、繰り返し丁寧に説明する歌舞伎座スタッフ。
 たいへんだなあ。
 
 静かに待っていると、さささと歌舞伎座のお兄さんが登場。
 お一人ですか?三階席、当日券がでましたよ、と言ってくれる。
 わおー!当日券!
 今やオークションでも、三階席は倍以上出さないと手に入らない夜の部。
 はい!三階でみますとも!
 チケット売り場に誘導され、もはや夢心地。

 すると驚くべき事に、オペレーターのお姉さんが見せてくれたモニターには、
 一階一等席の当日券が!
 しかも前から二列目、真ん中!
 自分の目が信じられず、お、あわ、ど、どっちが舞台でしたっけ?などと聞いて笑われる。
 このチケットが、どんだけプラチナか俺は知ってる。
 しかも6月の一等席お断り電話が後援会から来たばかりだ。
 その分浮いたお金がある!
 何を迷うことがあろう。
 (ちなみに、どの席かは確認しなかったが、三階席もこの時点であるとのことだった)



 ふわふわと夢見心地のまま入場。
 もう始まっている薄暗い場内を係りのお姉さんに導かれて着席。
 目の前で菊ちゃんが、姉妹ご対面の場面でよよよと泣いてる。
 すんげーー!こんな席でみられるのか!
 富十郎さんのたっぷりピリリとした演技も、菊ちゃんのめんこいさまも、
 時蔵さんの仇っぽい美しさも、迫力!
 しかも、この姉妹、良い香りがしてる!レモンみたいな何とも言えない良い香り!
 わあ〜。
 
 この幕、姉妹の再会を富十郎さん扮する主人惣六が障子の影から聞いており、
 ついもらい泣きしてしまう話なのだけれど、
 この席だと、まるで私も一緒に聞いてるような気持ちになってくる。
 女形さんは、もちろん美しいのだけど、
 間近で見る富十郎さんの、きりっと美しい目線や張りのある声に
 すっかり惚れ申した。
 天王寺屋!と心でかけ声。

 幕間、気が付くと三階席仕様のジーンズで、顔はオイリー、髪もぼさぼさ。
 まさかこんな席で見るとは、お釈迦様でもご存じなかった。
 とほほ。
 
 それでも、口上では目の前で海老蔵ににらんでもらって、
 死んでしまいそうになる。

 勧進帳。
 視界丸ごと、頭の中すべて海老蔵富樫に持って行かれる。
 すんげーー!
 呼吸できない。
 泣けて泣けて。
 すごい緊迫感。
 息づかいや、裾をさばくしわぶきの音1つひとつ、視線の行く先、額の汗。
 全てが耳に入り、目に飛び込んでくる。
 幕がひかれ、ほうっと肩で息をつき涙をぬぐうと、
 周りのご婦人方も同じように泣いてる人多数。
 
 
 最後の幕も、こんな席では気が抜けず、
 三津五郎さんの熱の入った宗五郎堪能。
 こうしてみると、芝雀さんのおはまが、
 なんとも情の深い女房っぷりでよいなあと思う。
 菊ちゃんのおなぎは、宗五郎に妹が亡くなった時の状況を説明しにきたのだが、
 そのお女中ぶりが、落ち着いてしっとり若やいで好ましい。
 三吉の松禄さん、これがこの間俳優祭で飲んだくれていた人かと思うと、にやけてしまう。
 父親役の松助さんの背中のお芝居が、なんとも泣ける。
 この方、私の中では「助六の通人」のイメージが強いのだけれど、
 昼の部では腹だし赤っつらで、どーんとしていたし、夜はこのよぼよぼぶり。
 すごいなあと、今更感動。


 いやはや、思いがけずにこんな席でみることが出来て、
 ぼーーっとしたまま帰宅。
 喉から手が出るほど欲しかったかぶりつきの席だけど、
 一体どんな経路で、今日私のもとへ届いたことか。
 もし口上から幕見で入れていたら、手に入らなかった席だった。
 本当にご縁なんだろうな、とつくづく思う。
 矛盾するようだけれど、
 チケットは、基本は無欲で、でも最後まであきらめない、が肝心とみた。


2004年05月18日(火) 歌舞伎座一押しスイーツ!

 ついこの間5月1日の初日を迎えたばかりと思っていたら、
 あっというまに五月襲名興行もあと一週間。
 その間にも本当に色んな事が次から次へと起こって、
 いちファンでいるだけでも、気持ちも体も目一杯で過ごしてきた。
 新海老蔵、舞台の上で毎日毎日大勢人の期待を背負って、
 どんな思いですごしてるのだろうか。

 4階から1階まで、歌舞伎座のあちこちをウロウロ過ごして、
 そんな私が今最もはまっている歌舞伎座一押しスイーツをご紹介〜。
 
 これ、以前はわりに簡単に買えたのだが、
 密かにじわじわと確実に人気が高まっているようで、
 最近売り切れで買えないことの方が多い。

 その名も「あんず大福」!これー!
 ちんまりと小さめの大福で、一個200円なり。

 歌舞伎座二階には「芝居茶屋」というコーナーがあり、
 くずきりやみつ豆、杏仁豆腐など美味しそうな甘味が沢山並んでいるのだが、
 あんず大福は、その隅っこに静かに可愛らしく並んでいるのだ。

 ふっくらしたおもちに包まれて、うっすら透けて見えるあんずの色がかわいらしく、
 手のひらに置くと、すっぽり収まるサイズ。
 あんずの豊かな香りがなんともいえず、餡の甘さとあんずの酸っぱさが程良くとけあい、
 幸せな気持ちになれること請け合い!

 これ是非おためしあれ。

 2日に歌舞伎座でお会いした方に差し上げたら、
 大福の中に海老色のオレンジが透けて見えてきれいだから、
 襲名記念の和菓子なのね?と喜んでくださった。
 私があんまり海老エビを騒ぐものだから、そんな風に思われたのかも。
 実際にはそうではなさそうなのだけれど、見た目もお目出度い可愛いヤツ。

 ちなみに私はこのところ三連敗。
 いつも売り切れていてご無沙汰だったのだが、
 今日久々に買うことが出来たので、
 食べずに大事に持ち帰り、記念撮影。
 (昼の部開場してすぐは、届いていなかったこともあるのだけれど、
  一幕目がはじめる前に一番買える率が高いみたい。
  売り切れたら、その日の分はおしまいらしく、
  夜の部では買えたことがない。と思う。
  今日も、あと3つしか残ってなかった。
  うわごとのようにあんずあんずと聞くからか、売り場のおねえさんに、
  今日は間に合ったわね〜よかったわね〜と言われてしまった。)
 
 もちろんその後、美味しくいただきました。


2004年05月17日(月) 伊藤園ご招待と吉兆。

 11日(火)
 昼の部は「おーいお茶」でお馴染みの伊藤園が貸し切りご招待という太っ腹な企画。
 新幹線で到着した母を出迎え、歌舞伎座に直行。(母の日ご接待)
 暑い日で、歌舞伎座の周りにはぐるりと長蛇の列。
 席は抽選とのことで、入場の際に自分で選んだ封筒に入っているのが本日のお席。
 母と、くじ運が無いからオカン引いてよ、いやあなたがひきなさいよと言い合い、
 結局私が三階席を引いてしまう。
 う。すまぬ。

 それでも席に着くとお土産のパンフレットと海老蔵襲名記念のハンカチのセットが置いてあり、
 なにやら嬉しい。こんなかんじ。
 一階の桟敷席には向島だか新橋だかの(よくはわかりませんが)きれいどころがズラリ。
 桟敷のボックスは二人掛けになっているのだけれど、
 箱それぞれに、御茶屋のおかあさんときれいどころが二人一組で座っているようで壮観。
 他にもCMつながりで、中谷美紀さんも着物で観劇していたそうな。
 お隣の席のご夫婦のご主人は、もうそっちばかりオペラグラスで眺めてるよ。
 母も「これオトンにみせたかったわー」とか言ってるし。

 「暫」の中では
 ツラネという台詞の中で海老蔵が
 「ご贔屓いただく伊藤園様の許しを受けて今日只今、晴れて受け継ぐ十一代」など折り込み、
 大きな拍手を受ける。
 さらに茶後見という、可愛らしい(?)役があって、
 花道、でっかい装束のままツラネを言い終えた権五郎に、
 トコトコとお茶を運び献じるお仕事があるのだけれど、
 今日はおーいお茶のペットボトルを恭しく差し出す段四郎さん。
 わはは。
 団十郎さんの襲名の時は、茶後見を13世仁左右衛門さんがおやりになって、
 何かでチラとその映像を見て、嬉しかったのを思いだす。

 もれなくお弁当もついていて、お茶は当然伊藤園。
 このお弁当、普段は桟敷に届けてくれる桟敷幕の内弁当(3300円)のような趣で、
 伊藤園奮発してるなあーと感心。
 余談ではあるが、招待客の中にも勿論ランクがあるようで、
 色の違う引換券の人は「吉兆お持ち帰り弁当」なるものを受け取っていた。
 ほほー。

 伊勢音頭では、団十郎さんの代役で梅玉さんが貢を演じる。
 ご自身の襲名の時にも演った役ということもあって、色っぽい貢であった。

 母は足腰が弱いので、冷房がきついらしく足をさすりつつ観劇。
 歌舞伎座には母や、それよりずっとお年を召した人が大勢いるのではあるが、
 こうして母と一緒に観劇してみると、やはり体力は必要なようで、
 いつまでも一緒に見に来たいね!と思うのだった。


 昼夜通しで観るときは、居続けが出来るのがありがたい。
 昼の部を終え、おおかたお客がいなくなっても、ゆっくりお手洗いを済ませたり、
 ロビーのソファーで足腰をいたわっていると、
 歌舞伎座のスタッフがチケットをもぎりに来てくれる。
 一度外に出るのも気分転換になるが、混雑と人ごみがすごい。
 なのでこうしてボーっとゆっくり静かに過ごせるひとときが好き。


 夜の部はこんなかんじ。
 付け加えるとすれば、この日歌舞伎座内の「吉兆」を初体験。
 これはなかなか素敵な時間となった。
 ゆったり静かに美味しく食事。
 どれもたいへん美味しいので、母はとうとうビール。
 私も一杯だけご相伴にあずかるが、何しろこの後は勧進帳。
 ぐっと我慢。
 その分、小瓶を一人で空けてしまった母は大丈夫なんだろうか?

 母も口上や勧進帳には感激感涙。
 ご接待申し上げたかいがあったというもの。

 家に辿り着くと、改めて乾杯!
 長い一日お疲れさまでした。
 


2004年05月16日(日) 覚え書き。

 ずうっとしょんぼりして過ごす。
 思っていたよりずっとずっと、団十郎さんの存在が大きかったんだな。
 海みたいな、山みたいな、お日様みたいな人。
 早く元気になりますように。


 7日(金)
 歌舞伎チャンネルで長唄「勧進帳」の番組を見る。
 名曲だ。
 唄と三味線、総勢70名の勧進帳の迫力と美しさにうっとり。
 初日を見て以来、勧進帳を聞いただけで泣けてくる。

 8日(土)
 この週末は大忙し。
 少しでも快適に過ごせたら・・・と思いたち、
 生まれてはじめて整体(とは違うらしいが、そのような部類の)に行ってみた。
 終わった後は、血行が良くなったらしく、体が暖かい。
 肩こり腰痛の無い週末を想像してみる。

 午後から、お友達の長唄と三味線のお稽古を見学させていただく。
 お師匠さんの三味線、生でこんなに近くで三味線を聞けて幸せ。
 長唄はもちろん勧進帳。
 歌詞をきいていると、色々な場面が浮かんでくる。

 夕方、携帯に見慣れぬ着信が。
 とうとう家にも来たらしい。
 6月のチケットに関する、後援会からの電話だった。
 ある程度覚悟はしていたが、それでもバッサリ。
 バッサリ、ばさり。
 そうかあ〜。
 脱力して、ちょっと涙がちょちょぎれる。
 それでも一般発売の前にわかっただけでも、よしとせねば。

 その後、三味線のお友達や大勢で、楽しく飲んでいたのだけれど、
 ヅンヅンだるくなってくる。
 整体の後、「お酒は禁止。反応が強く出る人もいます」と聞いていたけれど、
 ビール一杯くらいなら平気か?と思って飲んでしまった。
 反応が出るというのは、滞っていた血流が整体で回復すると、
 その部分に溜まっていた老廃物がどっと出て、
 体がだるくなるというようなものらしい。
 もう地球にめり込むような勢いで、だるい。ひー。
 チケットの事で、心もだるい。ううー。

 9日(日)
 朝から、電話をかけて頼まれていたチケットがとれなかったこと、お詫びする。
 快く理解してくれて、救われた。
 歌舞伎会の特別会員の友達が、枠を使ってもいいよと言ってくれた。ありがたい。
 今日から一般発売に先駆けて、チケットが発売される。
 ひたすら電話するも、一向につながらない。
 しかも昨日の続きか、体がだるくてだるくて、どうしようもない。
 今日はせっかくの夜の部一等席なのに・・・。
 六月は六月の風が吹くだろうと思い、気持ちを切り替える。
 それでもギリギリまで電話をかけまくるが、つながらず。

 一緒に行く友達(吉右衛門さんのファン)が、
 海老蔵に敬意を表して着物で行く!と張り切っており、
 ならば私も、それに見合う格好をせねばなあと、スーツを着ていくことに。
 待ち合わせに現れた彼女は、雨模様にかかわらず着物姿で、
 若葉色のコートを着てとってもきれい。
 これが昨夜、のんだくれてニヒニヒいってた人か、と思うと笑ってしまう。

 一等席のと列。
 さすがに舞台が近い。
 友が頑張ってこの席をとってくれたのを知っているので、ひたすらありがと!の気持ち。
 こういう席に、着物やスーツは気持ちよい。
 けれど、私は体調がどうにもこうにもすぐれず。地球規模のだるさ。
 整体を気軽に受けてしまった己を呪う。

 口上。
 初日とは雰囲気が違って、お祭りっぽい楽しい空気。
 初日は、なんというか荘厳な様子で、
 広い聖堂に描かれた天井の絵画みたいな、
 上手くは言えないが天使がキラキラした粉をまき散らしながらお祝いしているみたいな、空気だった。
 今日はそれよりは、ずっとく場内がだけて、ウキウキと楽しげな雰囲気。
 海老蔵もずっと落ち着いている。

 幕間。
 楽しみにしていた「襲名弁当」。
 せっかく着物なんだから、これくらいいってみる?と予約しておいた。
 けれど「ほうおう」は満席のぎゅう詰め。
 襲名弁当の人気は高いらしい。
 相席は仕方ないのだろうけど、隣の会話が丸聞こえ。
 これじゃくつろいで食べるのは無理。
 デザート生のさくらんぼが付いてたのが、一番嬉しかった。
 
 あとは、まあ、普段食べてるお弁当が、まんざらすてたもんじゃないのがわかったし、
 こういう時でもなければ、きっと食べられなかったお弁当だし。ね。

 勧進帳。
 だるさはピーク。
 生理もはじまってしまって、もうぐだぐだ。

 見る側のコンディションのせいだろうか、いまひとつ舞台に吸い込まれない。
 かみ合っていないような、空回りしているような、
 逆にかみ合いすぎて、焦げ付きそうな詰め寄り。
 それはきっと自分の体調が悪いせいなんだろう。

 弁慶のひっこみの飛び六方。
 ここだけは、自分の体調だけじゃなく、団パパどうしちゃったの?と思った。
 ものすごく重そうで、全然勢いが無い。
 今も、あの後ろ姿、目に焼き付いている。

 それでも、友達は生海老蔵、やっぱ凄い!輝いてた!と言ってくれたし、
 菊ちゃんもめんこいねえーと喜んでいたし、
 おめかしして見やすい席で観劇できて、歌舞伎座満喫だねーと帰路につく。

 10日(月) 
 昼休み、友達からメールで団十郎休演のしらせ。
 がーん。
 でも、あれだけ忙しかったんだし、過労だろう、と思ってた。
 私もまだだるい。
 整体恐るべし。
 でも腰の痛みは、そういえば無い。

 
 ○○追記○○

 つたない、主観ばかりの観劇日記ではあるけれども、
 やっぱりこうしてまとめて書いておくと、後によみがえるものがあるし、
 くじけないで、つけていこうかなと思ったりしました。
 メールくださった方、ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、私もしょんぼりどんよりしていましたよ。
 メール嬉しかったです。

 今日はもう一度これを読んで寝ます。
 本当に確かに、無言の口上聞こえます。

 


2004年05月12日(水) ・・・・。

 観劇から一夜明けて今朝、予定よりもずっと早く目が覚める。
 心がぽっかりとさびしいのだ。
 舞台にいるはずの、いてくれることが当たり前だと思っていた団十郎さんの存在が、
 こんなにも大きかったなんて。
 あの何ともいえない、団パパの嬉しそうな顔は、
 見ているこちらまで、幸せな気持ちにしてくれた。
 だのに休演だなんて。

 ぼーっとしたままテレビをつけていると、団十郎さん今月いっぱい休演の文字が。
 え、そうなんだ。
 思っていたよりもずっと、よくないのだろうか。

 その後一日、どうにもこうにも心配で、気持ちはそちらばかりむいてしまう。
 それでも仕事して、職場でビールなんて久々に飲んで、
 長い一日が終わった・・・と思ったら、メールが。
 「団パパ、急性前骨髄球性白血病だったんだって」
 ・・・・・。
 電車の中だというのに、涙が止まらなくなる。
 そんなことって、あるのだろうか。
 どうして?

 帰宅後、いてもたってもいられず、
 この病気のこと、調べてみた。
 大変な病気ではあるけれれど、それでも治癒率も高くなっているとのこと。
 心配してメールをくれた友達と電話で話したり、泣いたり、心配したり、
 でも、ともかくきっと団十郎さんも海老蔵さんも、大丈夫だよと励まされ、
 そうだよな、と言いきかせる。

 きっと今夜は、こんなふうに、
 どうすることもできなくても、心の底から回復を願ってる人が、
 何も手につかずに、祈る事しかできない、眠れない人が、大勢いることだろう。

 どうか、どうか、お願いします。
 団パパが、早くよくなりますように。
 海老蔵さんが、強くいられますように。
 
 
 


2004年05月11日(火) 脱皮の瞬間。

 11日夜の部。
 団十郎休演2日目。

 2日で人はこんなにも変わるものなのか?と驚いた。
 奇しくも団十郎休演前の9日夜の部に続き、11日の夜の部だったので、
 クッキリとその違いを見ることができた。

 口上。
 これまでの海老蔵は、ただただ自分が輝いていればよかった。
 すぐ傍らには、大きくて深く広い父・団十郎がいたのだから。
 
 幕が開き、一度顔をあげた海老蔵の、その表情。
 頬がややこけ、目の下には白塗りでもわかるクマ。
 それでも、その表情は確として、力強い。
 むしろ、陰や凄みが加わって、きりりと冴えている。

 ただ傍らには、団十郎さんがいるはずの場所に、空間が。。。
 海老蔵は口上の際、
 「この度の襲名を私よりも楽しみにしていた、父団十郎ですが、
  休演いたすことをお詫び申し上げます」とのべていた。
 その表情は、父の分までしっかり努めねば!という決心のような
 これまでとはまた違う、何か強いものを感じて、
 ぐっときてしまった。

 勧進帳。
 坂東三津五郎が弁慶を代役とのこと。
 
 はじめに登場した海老蔵富樫の表情も、何か違って見える。
 ぐっと凄みや落ち着きが増して、驚くばかり。

 弁慶といえば団十郎のでっかく大きく、どどーーん!男だ!みたいな印象が強かったのだが、、
 三津五郎の弁慶は、きっちり固く義経に従い、賢く聡くピリリと辛い、そんな印象。
 それにしても勧進帳を読む下りも含め、急遽決まった代役とは思えない、
 よどみない台詞、堂々とした力強い弁慶ぶりで、本当にびっくりした。
 歌舞伎の底力とでもいうのか。

 それを受けて立つ富樫の、この成長ぶりはなんだろう。
 
 父の弁慶と向き合っているときはなぜだか、
 「父の手のひらの中」というような面が無いとは言えなかった。
 9日の勧進帳では、弁慶と富樫のイキがあいすぎて、
 肉迫した雰囲気は大きくなっていたが、やや予定調和な印象もあったのかも。
 問答のあたり、富樫の語尾がはねあがり、それと一緒に顎もあがり、
 なんだか若すぎるような気がしたが、
 今日はそれが、ぐーっと落ち着き、富樫の冷静で誠実で賢い人となりが、
 より鮮やかになっている。

 「今は疑い晴れ申した」のあたり、
 初日の富樫を「瞬発力」と書いたけれど、ドラマチックな印象だったのだが、
 今日はぐっと渋く、鋭く深く、男らしく感じられた。
 (どっちもよかったな。どちらも好き)
 瞬発力に頼らなくとも、魅力ある富樫だ。
 弁慶の人となりに感じる富樫だけれど、
 それと重ねて、海老蔵も
 三津五郎さんの役者としての素晴らしさに感じているのでは?と思ったり。

 富樫が引っ込み、弁慶の見せ場。
 なんだろう、ますます三津五郎さんが大きくなっていくようだ。
 団十郎さんにはない、違った魅力のある弁慶だ。
 踊りで大きさや性格を表せるからなのだろうか。
 後見は大和屋さんの人が代わりにつくのだろうか?と思ったが、
 お馴染みの升寿さんだ。
 こうしてみんな気持ちを1つにして、休演の穴を埋めていると思うと、
 また切なくなる。
 飛び六方の引っ込みは、
 勢いよく、まさに鳥屋に突っ込む勢い!
 そうだ、これが弁慶だ。
 9日の団十郎さん引っ込みの時、あれ?と感じた違和感はこれなのかも。
 パパよほどお辛かったのだろうな、とまた涙。
 割れんばかりの拍手とかけ声。
 立派な弁慶ぶりと、富樫の成長ぶりを、客席が実感した一瞬だったと思う。

 本当にいい勧進帳だった。
 三津五郎さんは口上で、
 「海に住む海老も、数十回と脱皮を繰り返して殻を破り成長するといわれています、
  新海老蔵さんにおかれましても、幾度となく殻を破り、
  大きな役者さんに成長していかれることでしょう。
  それを歌舞伎界の宝として、見守る所存にございます」と言っていた。
 まさにその殻を破る瞬間を、見た思いがした。
 きっかけは団十郎さんの休演という、残念なものではあったけれども。

 団十郎さんには一日の早く善くなって欲しい。
 海老蔵のこの驚く成長ぶりも、見てもらいたい。


2004年05月10日(月) ☆とりいそぎ☆

 9日の夜の部は、お友達がとってくれた一階席「と」列で観劇。
 観劇日記はまた改めて書くとして、
 勧進帳の弁慶の幕外の引っ込みの飛び六方の団十郎さんが
 初日に比べると元気がなかった。
 あれれ、どうしたの?でっかくないよ?と少し不安な気持ちに。

 すると今日、お昼休みに友人からメールが。
 団十郎さんが急病のため休演とのこと・・・。
 ええ〜!?
 ショック。
 びっくり。
 随分お忙しそうで、大変だろうなあと心配はしていたものの、
 相当無理なさっていたのではないだろうか。

 あんなに団十郎・海老蔵の共演を喜んでいた団十郎さんだったのに。
 さぞ切ない気持ちでいらっしゃることだろう。

 一日も早く団十郎さんが良くなって、
 舞台に復帰できるように、ただただ、祈る事しかできない。

 スマスマでの楽しげな親子の様子を見ていると、
 また切なくなる。
 
 私は、まだ見てないけれど、
 ハイビジョンの2時間特番を見た友達から、
 「海老蔵さんの、ちょっとした声や、ちょっとした所、
  団十郎さんと聞き間違えるほど。
  きっとずっと彼は団十郎さんを見てきたのね。
  涙が出ました」とメール。
 うう〜。
 うるうる。

 とりあえず、昼の部の貢は梅玉さん、夜の部の弁慶は三津五郎さんが代役とのこと。
 明日、昼夜観てくる予定。
 明日にも団パパ、復帰なさってるのではないかな?と期待しつつ、
 でも団パパのいない歌舞伎座襲名披露興行は、さびしいんだろうなあ・・とも。

 どうか、どうか、早くよくなりますように!
 
 


2004年05月02日(日) 五月大歌舞伎 2日 昼の部

 寝不足のまま明けた2日目。
 まだ体のそこここに、ハイな気持ちが続いており、
 いつもよりは早めに歌舞伎座に到着。

 お気に入りの「伊まさと」のぼたんエビのお寿司は、旬が過ぎたせいか無くなっており、
 久々に辨松のお弁当にする。
 ここのお弁当の玉子焼きが、大好き!
 本当に美味しいので、玉子焼き弁当とか作って欲しいくらい。
 (今見たら、卵焼きだけでも買えるみたいだ。ふふふ。)

 今日は馴染み深い三階席なので、初日よりはリラックスした気持ち。

 改めてゆっくり展示品など眺めていると、あっという間に開演時間。
 今日の席は、渡辺先生の講演会の後、気持ちが盛り上がってしまって、
 その日、歌舞伎座窓口で買った席だったのだけど、
 座ってみたら大当たりの席だった。
 これなら暫のツラネも見られそう。
 席っていうのも、ご縁なんだろうなあ。

 お隣の老夫婦はとても仲が良さそう。
 早速オペラグラスを取り出した私に、奥さんが、
 「今日はそれ、忘れてきちゃったのよー」と話しかけてきた。
 それはお気の毒に・・・と思い、
 その後時々、オペラグラスをお貸しすると、とても喜んでくれた。

 「四季三番草」
 なにやらお目出度く、神聖な雰囲気の踊りであった。
 お隣のおばあちゃんが、芝雀さんを「あの子、うまくなったわねえー」と驚いていた。
 
 幕間にどなたのご贔屓なのですか?と尋ねると、
 じいちゃん(十一代目団十郎)を長男とする、松本家の三兄弟の頃にはまったそうで、
 「今の歌舞伎はねえ・・・」と少し不満げ。
 しかも「夜の部が観たかったのに、切符が全然とれないもんだから昼になっちゃったのよ」とのこと。
 どうか楽しんで欲しいなあと思う。

 「暫」
 暮れのテレビで一度は団十郎さんの「暫」を見たが、
 これ、なんだか面白い出し物だ。
 鎌倉鶴岡八幡宮の春。
 ずらりと居並ぶ善い者・悪者の面々。
 豪華だ。
 富十郎さんの声、若々しい!
 時蔵さんの照葉似合うなあ。
 
 そこに、いよいよ50�舛發△襪箸いΠ畫�を着込み、
 鎌倉権五郎景政の海老蔵の登場!ああ、この姿!

 舞台上で繰り広げられる、悪者の善い者いじめに対して、
 「しばーらーくうーー!」(ちょっと待てーー!)と声をあげ、
 花道にデデーンと腰をすえることになる。

 なにやらでっかくて、強そうで、やっかいそうな権五郎が邪魔で仕方ない悪者達。
 順番にやってきて「そこをどいてくれ」と頼むやりとりがなんとも面白い。
 ツラネという独特の台詞があるのだけれど、
 なんだかお目出度くも格好良かった。
 「筋を通すは親譲り、
  親父の口真似口拍子、ちったあー似たか三なすび
  下手がこっちの取り柄にて、大きな寝言も富士筑波」
 みたいな事を言っていたような。
 
 どいてくれという悪者に「いーやーだー!」と答えるでっかさ、
 稚気あふれる勧善懲悪ぶりは、ガン!としていて、微笑ましいくらい。

 のしのしと本舞台に登場すると、
 後見さんが4人も5人もついて、お世話して、大きな大きな見得!
 いやあー!うはは!

 この古風で大らかな演目が大好きだと思った。

 暫も終わり、わー凄かったなあ!と一息ついていると、
 お隣のおばあちゃんも、先ほどまでの不満そうな表情も消え去り、
 ねえ、凄かったわねえ!大きくてねえ。いいわねえ!と連発。
 ああー楽しんでくれたのだと思うと、私まで嬉しくなる。
 私が成田屋さんが大好きで、昨日の夜の部も観たこと、
 今月はこれからも、ちょくちょく通うこと、など聞かれるままに答えると、
 話はさらに盛り上がり、
 切符がとれて、よかったわねえーと喜んでくれた。
 おまけに桜饅頭もいただいてしまって、なんだか三人で観劇しているような趣。
 それもまあいいか、と思う。

 「紅葉狩」
 ここはもう、音羽屋さんの見せ場。
 菊五郎さんの赤姫、思ったよりも可愛らしくて驚く。
 菊ちゃんの山神も、山の小僧みたいでイイ感じ。
 昨日の夜の部とあわせて考えると、菊ちゃん今月もいいなあ、頑張ってるなあと思う。
 上手!というのではないんだけれど、応援したくなる人だ。

 「伊勢音頭恋寝刃」
 女形色とりどり!といった感じ。
 なかでも田之助さんのお鹿がかわいくて。
 団十郎演じる貢と、海老蔵演じる料理人喜助は、もとは主従の関係だ。
 ここで団パパと新・海老蔵のツーショットが見られるのだけれど、
 その時のパパの嬉しそうなことといったら、
 隠しきれるものじゃない。
 見ているこちらまで、嬉しーい気持ちになれる。

 あとはもう、お恥ずかしいことなのだけれど、
 喜助の海老蔵がたまらないっす。
 料理人ということで、ちょっとした役なのだけど儲け役。
 しかもあっさり浴衣を着流して、裾はおはしょり。
 あの胸元は見るなと言われても、それは無理。
 しかも褌がまぶしすぎる!(大バカと笑ってくれ)
 褌の時、案外肌色の下履きみたいなのを着けてる人も多かったのだけれど、
 若い海老蔵は、そんなもの着けない。
 以前読んだ本「海老蔵そして団十郎」の中で、
 じいちゃんが団十郎さんの臑毛の処理をしてやったというエピソードを読んだことがあったが、
 海老蔵の臑毛はちゃんとありましたよ。
 

 そんなこんなで、昼の部終了。
 お隣のご夫婦に、本当にありがとう!楽しかったわ!あなたのお隣で良かったわ!などと、
 何度も言われてしまって、恐縮する。
 でも本当に楽しかった。

 やっぱり昼夜、どちらも観てようやく、
 私の中では「初日祭り」が終わったという気持ち。

 昼の部は、華やかでおおらか、 
 夜の部は、緊張感が楽しめる。

 外に出ると、今日も晴れ。
 今日の夜の部を観る予定のご夫婦を目で探す。
 会えるとは思っていなかったのだけれど、
 スッキリ素敵にお着物を着たご夫婦だったので、すぐに会えた。
 わーいいなあ!素敵!
 今日は一等のとても良い席で観劇予定とのこと。
 そういうハレの日に、こんな風にご夫婦でオシャレして歌舞伎座だなんて、
 大人の愉しみ方、という感じで素敵だった。
 もう一人のお友達にも無事会えて、お見送りする。
 三人とも、これから観劇なのだからウキウキしていて、とっても嬉しそうだ。
 それを見送っていたら、一緒に付いて行きたくなる。
 うう〜。
 寂しくなって、とりあえず奥村書店とてぬぐいの「大野屋」をのぞき、
 また歌舞伎座前へ戻る。
 もう夜の部が始まったのか、とても静か。
 幕見席は、すでに勧進帳の列が出来てる。
 今から2時間近く並んで、勧進帳を見て、終わると8時かあ。
 とっても惹かれるものの、
 昨日は仕事して夜の部見て飲んで、今日の昼の部だ。
 もはや体は目一杯のはず。
 無理はしないことにした。

 ○○追記○○
 その後は、連休中なのをいいことにビデオ三昧。
 新之助の初舞台「外郎売」は、なんど見ても泣いてしまう。
 だって一生懸命なんだもの。
 「スーパーテレビ」もリピート再生。おおー!
 後で新画像をまとめて画像日記にアップする予定。
 
 


2004年05月01日(土) 五月大歌舞伎 初日 夜の部

 仕事しながらも、ああ、今頃はじまったなあなどと歌舞伎座に心は飛んでいる。
 夜の部に間に合うように駆けつけると、
 なにやら、むくつけきスーツの一軍。
 そうか小泉さんが来るんだった、と納得。
 随分時間が押しているようで、ようやく昼の部が終わった。
 出てくる人の中に瀬戸内寂聴さん。

 今夜は一階の二等席。
 さすが初日だけあって、着飾った人が大勢いる。
 華やかな空気に私までドキドキ。
 二階ロビーには襲名お祝いに贈られた品物の数々。
 伊藤園とヤマト運輸からは、美しい引き幕。その1
 バカラの花器やヴィトンの着物用バッグ。
 他にも絵画や焼き物や座布団や色々。
 見下ろすと小泉さんが入場するところであった。その2
 小泉さんは一階一等席の三列目で観るらしく、
 SPに囲まれやってきて、客席に向かってお辞儀。
 桟敷には舞妓さんも。

 一つ目の演目「碁太平記白石噺」は雀右衛門さんが休演。
 でも代役の傾城宮城野の姿の時蔵さんが、仇っぽく美しい。
 開演間もなく、私の横を係りに案内されてサーっと通り過ぎた女性がいた。
 あ、あのスタイルの良さとヘアスタイル、そして男らしい(?)歩き方!
 きっと米倉涼子さんに違いない。
 小泉さんと同じ列に着席。
 (幕間に振り向いたその人は、やはり米倉さんであった)
 時蔵さんと菊之助さんの姉妹のやりとりを、
 富十郎さんがピリリとしめていた。

 20分の休憩の後、いよいよお待ちかねの「口上」。
 あの場で感じた客席の期待感や、声にならない盛り上がりは、すごかった。
 普通、休憩の後は遅れて入ってくる人があちこち大勢いるのだが、
 今日の一階席はそんな人はおらず、
 本当にお待ちかね!という熱い空気。
 
 幕があくと、居並ぶ俳優さん達。
 真ん中の肩幅の広い人が、新海老蔵だった。
 一度顔をあげたその表情が、なんともいえなく張りつめて、美しかった。
 口上では雀右衛門さんもいらっしゃり、ホッと安心。
 大勢の方の言葉に、面を伏せつつもどうやら反応してしまっている様子の海老蔵さん。
 いよいよ団十郎さんの番になり、口上をのべる隣で、
 そっと目許をぬぐう海老蔵さん。
 私まで、もうウルウル。
 頑張れー。
 着物の前袷がちょっと乱れていて、あれ?と思ったのだけれど、
 にらみの時、片肌脱ぐために、楽屋で一度やってみたものだろうか?
 いよいよ、新海老蔵の番。
 涙こそ見せなかったが、気持ちいっぱいに溢れる想いがこみ上げる挨拶。
 決してなめらかではなかったが、響いてくるものがあった。
 今度は隣の団十郎さんが、もうウルウル。
 にらみでは、またしても脳内クローズアップ!
 うわあ!あの目!
 にらんだまま幕が引かれても、しばらくぼーっとしてしまう。

 30分の休憩だが、胸がいっぱいでお弁当が食べられない。
 次の勧進帳でお腹が鳴るのはイヤなので、ともかく小さな俵おにぎりだけ飲み込む。
 ぶらぶらとロビーを散策。
 
 ここで見かけた襲名グッズの中で、心惹かれたのはこれ!(その3)
 ほえーと眺めていると、係りの人が、
 「これは実際に新之助さんに選んでいただいたんですよ」と説明してくれた。
 15種類くらいの中から選んだのだそう。
 なかでも一番大きな札をご本人も持っているとのこと。その4
 「もっと板を分厚くしてくれと言われましたよ」と笑ってた。
 うぬう。惹かれてしまうではないか!

 他にも手ぬぐいや千社札、ストラップ、
 笑ってしまったのは富樫の烏帽子(紙製)の中におせんべいが入ってるもの。
 お菓子では「新茶どらやき」。
 皮に新茶が練り込んであり、その場で焼きたて。
 今日は八十八夜。
 新茶を飲むとよいそうな。
 白鷺宝の紅茶フレーバー。
 などなど。
 長い幕間で、食事中の人が多いからか、ゆっくり見られた。
 このままここにいたら、あれこれ買い込んでしまいそう。
 
 さらにブラブラしていると、家庭画報で海老蔵について連載中の村松友視さん、
 鶴田真由さん、オテルドミクニの三國さん、フジテレビの阿部アナ、など見かける。
 
 勧進帳にそなえて、大人しく着席。
 目の前にはこれ(その6)。どどーん!

 どんな富樫を見せてくれるんだろう。

 新海老蔵の富樫は、若かった。
 大きな男・弁慶と向き合うにしては若い。
 けれど、若くても清冽でひたむきで、
 男弁慶を一心に見つめる富樫だ。
 最初は弁慶一行を、本物の山伏かどうか見極めようと、
 次第に弁慶の大きさに惹かれて、
 一心に見つめているその横顔が、印象深い。
 弁慶を、弁慶と知りつつ通そうときめた時、
 自らも切腹の覚悟を決めた富樫の「早まり給うな」の声と表情が、
 あまりにも切なくて、色々な気持ちが込められているようで、
 とうとう私もポロポロ泣いてしまう。
 一度涙がこぼれだすと、なかなか止まらずに困る。
 「我はこれより、猶も厳しく警固の役」の表情の静かさに、また涙。

 「ついに泣かぬ弁慶もー」からも、泣けて仕方ない。
 団十郎弁慶の頬にも涙のあとが。
 これは弁慶の涙だけじゃなく、父の涙も含まれてるのか?
 (鼻水もたれてたね)

 あの瞬発力は凄いと思ったけれど、
 これからもっともっと、弁慶とがっぷり向き合う富樫になって欲しいと思う。

 弁慶の打擲の場面で、客席に微かな笑いが起きてたのが不満。
 多分団十郎さんの鼻がんごーと鳴ったからなんだろうけどさ。

 しかし思えば20過ぎの頃、はじめて勧進帳を観た時には、
 なんだかよくわからないし、眠いし、
 「どうしてこれが人気の演目?」と思ったんだった。
 あれから思えば、緊迫した気持ちのまま、ひたすら見入ってしまった今日の勧進帳。
 団十郎と海老蔵が共演する勧進帳。
 もっと観たいな。
 

 「魚屋宗五郎」
 やっぱり三津五郎さんは安心してみていられる。
 最後に登場の磯部主計之助を、そつなくこなす海老蔵。
 詫びを入れ、場を納める、気品やおっとりした雰囲気は好きだったが、
 もう燃料切れっぽくなかったか?
 「そつなく」なんて、彼には似合わないような気もする。
 でも、色々な新海老蔵を見られて、よしとするべきなんだろか。

 小泉さんが帰るのを見送り、
 友達を待つ間、ぼーっとしてしまう。
 アドレナリンいっぱい出して、期待して、興奮して、嬉しくて、泣いて、
 長い一日だった。
 時計を見ると9:45。
 時間を気にする余裕もなく過ごしていたので、遅くなっていてビックリ。

 帰り道、初日おめでとう!お疲れさま!頑張ろう!と乾杯。
 ようやくお腹がへった。
 昼間はあんなに爽やかで気持ちよい天気だったのに、夜は冷え込む。
 私たちも風邪なんてひいてる場合じゃないよね!などと盛り上がる。
 昼の部も見た友達に、「暫」の感想など聞きつつ、飲む。
 あーでもない、こーでもないと話はつきない。
 
 
 お疲れさまでした。
 
 

 
 

 


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