2005年02月03日(木) - 恵方へつれてって
賢明なあなたなら、
まさか、海苔巻き業界の策略には乗っていないことだろう。
もしくは「恵方巻」という怪しい風習など知らないかもしれない。
知らなくても全く問題はない。
“1977年に大阪海苔問屋協同組合が節分のイベントとして道頓堀で実施したのを、
マスコミが取り上げ、早速全国のお寿司屋さんがそれに便乗して全国に広まった。”
切ってない太巻きを、縁起がよいといわれる方向を向いて、
食べきるまで何も話さず、ただただ口へと太巻きを押し込むという、
ワイルドなイベントだ。
何も話さずというのが泣かせるではないか。
一家団欒の食事時、食台に全員揃ったのを父親が確認し、
「うむ、それでは食べるとするか」
「お父さん、今年はどっちの方向を向いたらいい?」
父はすっと手を伸ばし、ある一点を指さす。
いつもは生活に埋没し、家庭での存在感も危うい父が、
家族を恵方へ導くのだ。
そして静かな食卓。
時計の音ぐらいしか聞こえない。
しかし、突然小学一年生の娘がむせて咳き込む。
父も母も、心配なのだがここはぐっとこらえて身動きしない。
全ては恵方へ向かうために。
その時電話が・・・
こんな大事なときに。
儀式はまだ続いているのだ。
一体誰だ?
未だ電話が鳴り続いている。
大事な電話なのか?
しかし、今は心動かしてはいけない。
家族が恵方へ向かうために・・・・
家族で食べるのは良いだろう。
何となく絵になる。
カップルもまた良し。
彼のコタツでコンビニで買った太巻きを食べる。
「俺のって、これくらい太いかい?」
「じゃぁ、次はこっちの太巻きを」
これが受けるか受けないかで、
その夜が恵方へ向かうかどうか・・・
独りでその時を過ごす人はどうなのだろう。
特にもっと恵みを受けて良いと思っている人は。
大阪の海苔巻き業界のことだから、
「恵方2本食いはもっとええでっせ」
と噂を流すだろう。
「いやいや、カニすきしながらだと御利益で笑いが止まりまへん」
カニ業界と手を組むかもしれない。
「広島風恵方巻もあるけんのう」
西の死角がやってくるかもしれない。
「ホッケ、ホッケ、シャケ、イクラ、ウニ丼、ウニ丼」
最北の大御所が満を持しているかもしれない・・・
ああ、こんなんで長々書いてしもうた。
すんません。