時が満ちるのを待とうか。このまま朽ちてかまわないから。望みは。饒舌に騙され。手に入るように見えて。たぶん違うところにある。
夏には冬のことなんて思いださなかった。夏の顔を。もう遠くに。遠くまできてしまった。引きかえせないとこまで?歩道のラインやガードレールに感情移入して。季節感のない誰かの顔が。11月の狂気から引きもどす。一体誰が自由だって?列をつくらないかわりに。
開け放たれた扉からラインと消点のその先へと。踏みだす前に太古の物語と。形はおぼえていても名前は思いださない。いま感情に囚われて。その先にもあるはず。扉は閉まりかけて。現実の亡霊は張りつく。精霊の顔をして。勝算が常に先まわり。弱さの盾が強者を傷つけるから。手加減して負けたふりを。
|