確かに今、多くの母親は子どもに手をかけ,金をかけ、自分の人生さえ捧げんばかりの場合さえある。だがそこには、あくまでも自分の期待や希望に子どもが応えれば、という条件があるのだ。言い換えれば、この条件から子どもがはずれたとき、母親は失望し、現実を受け入れられず、ときには手のひらを返したように冷淡になる。つまり無条件の愛情ではなく、自分の都合や感情に合わせた、偏った愛で子どもを育てているのだ。(「文芸春秋」9月号による)