離れもあれば物置もありそこそこの庭もあるという屋敷にゆったりと暮らしてきた私たちにあてがわれた終の棲家は六畳一間。「パソコン一台のほかは何もおけないよ」といわれて七十年間に買い集めた万巻の書を泣く泣く処分した。日本文学全集も世界文学全集も古典文学大系も古本屋の査定はゼロ。自慢の汗牛充棟だったがダンボールに無造作に投げ込まれて運ばれていくわが蔵書はまさに屠場に挽かれていく牛であった。